0. 前提
0.1 このガイドラインの読み方
- 必須 は規格・法令・国際基準が要求する水準を示す。
- ラベルのない項目は、規格の推奨値や、公的機関・専門機関の推奨を示す。
- 根拠にした規格・資料は、末尾の「出典」にまとめている。
- 章立ては全媒体で共通である。同じ番号の節には、どの媒体でも同じ種類の情報が載っている。
- その媒体に当てはまらない節は省いている。
0.2 ユニバーサルデザインの7原則
ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター(1997)が定めた原則である。本ガイドラインの具体ルールは、いずれかの原則に対応する。
| 原則 | 設計上の意味 |
|---|---|
| 1. 公平な利用 | 誰でも同じ方法で使える。特定の人だけを別扱いしない。 |
| 2. 利用における柔軟性 | 利き手・速度・入力方法などを選べる。 |
| 3. 単純で直感的な利用 | 経験・知識・言語能力に依存せず使い方がわかる。 |
| 4. 認知できる情報 | 視覚・聴覚・触覚など複数の感覚で情報を伝える。 |
| 5. 失敗に対する寛大さ | 誤操作が危険につながらず、取り消せる。 |
| 6. 少ない身体的な努力 | 無理な姿勢や強い力を必要としない。 |
| 7. 接近や利用のためのサイズと空間 | 体格・姿勢・移動手段にかかわらず届き、操作できる。 |
0.3 利用者の多様性
色覚
- 日本人男性の約5%(20人に1人)、女性の約0.2%(500人に1人)が一般色覚と異なる色覚をもつ。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 内訳はD型(2型)が男性の約3.5%、P型(1型)が約1.5%である。どちらも赤〜緑の範囲の色の区別が難しい。
- P型では赤が暗く見える。濃い赤は黒とほぼ区別できない。
- 色相の区別は難しいが、明度差には敏感である。
加齢・視力
- 白内障では水晶体が濁り、青系統の光を通しにくくなる。青が暗く見えて黒と区別しにくくなり、白とクリーム色、緑と青、同系色や淡い色同士も区別しにくくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 白内障の総患者数(継続的に治療を受けている人)は140万人を超え、65歳以上の人口の約5.6%にあたる。〔川崎市カラーUDガイドライン(2011年)〕
- 視力が低下したロービジョンの人は、文字に近づいて読んだり、画面を拡大したりする。視野が欠けている人は、大きすぎる文字の一部しか見えないことがある。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
聴覚
- 加齢で耳が遠くなった人を含めると、難聴の人は全国で約3,000万人と想定されている。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 加齢で高い周波数の音から聞こえにくくなる。〔JIS S 0013〕
言語・認知
- 在留外国人は約293万人(2019年末)で、上位10の国籍・地域の公用語だけで9言語になる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 日本語を「日常生活に困らない言語」とする外国人は約63%である。情報発信の言語として「やさしい日本語」を希望する外国人は76%である。〔やさしい日本語ガイドライン概要〕
- 情報の処理に時間がかかる人、多くの手順を覚えられない人、光や音の刺激に敏感な人もいる。
状況による制約
- 障害がなくても、騒音下で音が聞こえない、屋外で画面が見えにくい、片手がふさがっているなど、一時的に同じ困難が生じる。
0.4 この媒体の基準の位置づけ
- WCAG 2.2(W3C、2023年)はWebの国際基準である。レベルA・AA・AAAの3段階があり、AAへの適合が一般的な目標である。
- 日本のJIS X 8341-3:2016は、WCAG 2.0と同じ内容である。
- ネイティブアプリには、WCAG 2.2をWeb以外に当てはめる方法を示したW3Cの指針WCAG2ICT(2024年)を使う。
1. 知覚
1.1 色
避ける色の組み合わせ
必須 次の組み合わせで情報を区別しない。右3列は、左の2色がP型・D型の色覚でどう見えるかを示すシミュレーションである。〔WCAG 1.4.1、川崎市カラーUDガイドライン、国交省バリアフリー整備ガイドライン、伝わるデザイン〕
シミュレーションはMachadoら(2009)の2色覚モデル(強度)で算出した。実際の見え方には個人差がある。
高齢者(白内障)で見分けにくい組み合わせ
青が暗く見えるため黒と区別できない。
水晶体の黄変で白が黄みを帯び、差が消える。白とクリーム色も同様である。
文字色と背景色の組み合わせ
必須 明度差のない文字と背景、混同しやすい色同士の文字と背景を使わない。色背景の上に色文字を重ねず、明るい背景には暗い文字、暗い背景には明るい文字を置く。〔WCAG 1.4.3、川崎市カラーUDガイドライン〕
暗い背景に文字を置くときは、赤ではなく白・黄・クリームにする。
色の選び方
- 赤は濃い赤ではなく、朱色やオレンジ寄りの赤を使う。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤や茶と並べる緑は、青みの強い緑にする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 彩度の低いパステル調の色同士を組み合わせない。彩度の高い色同士か、彩度の高い色と低い色を組み合わせる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 暖色同士・寒色同士を並べず、暖色と寒色を組み合わせる。〔伝わるデザイン〕
- 3色を使うときは、明るい色・中間の色・暗い色を1つずつ選んで明度差をつける。
- 色数を絞る。多くの色を使うと、どこが重要かが誰にも伝わらなくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤い面を他の色と接するときは、境目に細い白線を入れる。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 色で区別させたいものは、面積を広く、線を太くする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 色名で指示される可能性がある場合は、色名を併記する(例:「ピンク(A票)」)。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
色だけに頼らない
必須 色は情報を補強する手段として使う。色が見分けられない人や白黒コピーでも伝わるよう、次のいずれかを併用する。〔川崎市カラーUDガイドライン、WCAG 1.4.1〕
- 形(○△□、ピクトグラム、アイコン)
- 位置(凡例をデータの横に置く、並び順を固定する)
- 線種(実線・破線・点線)と線の太さ
- 塗りのパターン(斜線・ドット・ハッチング)
- 文字(ラベル、「必須」「エラー」などの言葉、太字、下線)
- 境界線(隣り合う面の間の線)
P型・D型ではAとB、CとDが同じ色に見える。凡例との対応も取れない。
白黒印刷でも4本を区別できる。
提出期限は 10月15日(水) です。
P型では黒文字と区別できず、強調に気づけない。
提出期限は 10月15日(水) です。
色が見えなくても太字と下線で強調が伝わる。
推奨カラーパレット
CUD推奨配色セット ver.4(カラーユニバーサルデザイン機構)は、一般色覚・P型・D型・弱視・白内障の人による評価を経て選ばれた20色である。20色のどの組み合わせでもよいわけではない。組み合わせるときは明度差をつけ、シミュレーションで確認する。
CUD推奨配色セット:アクセントカラー(サイン・グラフ・文字色向け)
CUD推奨配色セット:ベースカラー(地図・背景など広い面積向け)
CUD推奨配色セット:無彩色
印刷用のCMYK値と塗料用のマンセル値は、CUDOのガイドブックに記載されている。
Okabe–Ito パレット(国際的に使われる8色)
必須 どちらのパレットも、白背景の文字色に使うと4.5:1に届かない色が多い。文字色に使う場合は、個別にコントラスト比を確認する。〔WCAG 1.4.3〕
確認方法
- グレースケールに変換し、区別すべき要素が明度差だけで区別できるか確認する。
- 色覚シミュレーション(P型・D型)で確認する。ブラウザの開発者ツール(ChromeのRendering › Emulate vision deficiencies)、Adobe製品の校正設定(P型・D型)、スマートフォンの色覚シミュレーションアプリを使う。
Web・アプリ固有のルール
- 必須 本文中のリンクを、色だけで周囲の文字と区別しない。下線を付けるのが確実である。〔WCAG 1.4.1(A)〕✕ 色だけでリンクを区別
申し込みの前に、料金表と利用規約を確認してください。
色の違いがわからないと、どこがリンクか気づけない。
◯ 下線を付ける申し込みの前に、料金表と利用規約を確認してください。
下線でリンクであることが伝わる。
- 必須 入力エラーを赤枠だけで示さない。アイコンとエラー文を併記する。〔WCAG 1.4.1(A)、3.3.1(A)〕✕ 赤い枠だけでエラーを示すメールアドレスyamada.example.com
何が誤りかわからない。赤の枠に気づけない人もいる。
◯ アイコンとエラー文を添えるメールアドレスyamada.example.com⚠ 「@」が含まれていません。例:yamada@example.com誤りの内容と直し方が文字で伝わる。
- 必須 選択中のタブ・現在のページ・オンオフの状態を、色の違いだけで示さない。太字・下線・アイコン・チェック記号を併用する。〔WCAG 1.4.1(A)〕✕ 選択中のタブを色だけで示す概要料金よくある質問
どのタブが選ばれているか区別できない。
◯ 太字と下線を加える概要料金よくある質問色が見えなくても、太字と下線で選択中とわかる。
- グラフやゲームの配色を、利用者が変更できるようにする。〔Apple HIG〕
- OSの「コントラストを上げる」設定がオンのとき、よりコントラストの高い配色に切り替える。〔Apple HIG〕
- システム定義の色(iOSのsystemRedなど)を使う。コントラスト設定やダークモードに合わせて自動で調整される。〔Apple HIG〕
- Windowsの強制カラーモード(CSSの
forced-colors)で、ボタンの境界やアイコンが消えないようにする。
1.2 コントラスト
コントラスト比はWCAGの相対輝度に基づく値で、1:1(同じ色)から21:1(白と黒)までの値をとる。Webの基準であるが、他の媒体でも判断の目安として使える。
| 対象 | 最低基準(AA) | 高い基準(AAA) |
|---|---|---|
| 通常の文字 | 4.5:1 以上 | 7:1 以上 |
| 大きな文字(18pt=24px以上、または太字14pt=約18.7px以上) | 3:1 以上 | 4.5:1 以上 |
| アイコン・入力欄の枠・グラフの線など、文字以外の意味のある要素 | 隣接色に対して 3:1 以上 | ― |
- 必須 写真やグラデーションの上に文字を置くときは、文字の背後に単色の帯や縁取りを入れ、背景の最も明るい部分でも基準を満たす。〔WCAG 1.4.3〕
- 長文の本文は、純黒(#000)より濃いグレー(#1A1A1A〜#333)、背景は純白より淡いグレーやクリームにすると、まぶしさが減る。〔伝わるデザイン〕
- コントラスト比は、WebAIM Contrast Checker、Colour Contrast Analyser(TPGi)などのツールで確認する。
Web・アプリ固有のルール
| 対象 | ルール | 根拠 |
|---|---|---|
| iOS | 17pt以下の文字は4.5:1以上、18pt以上または太字は3:1以上 | Apple HIG |
| Android | 18sp未満(太字は14sp未満)の文字は4.5:1以上、それ以外は3:1以上 | Android Developers |
| プレースホルダー | 必須 情報を伝える文字として4.5:1以上 | WCAG 1.4.3(AA) |
| 無効状態の部品・ロゴ | 基準の対象外 | WCAG 1.4.3(AA) |
- 必須 ダークモードなど複数の配色を用意する場合は、どの配色でもコントラストの基準を満たす。〔WCAG 1.4.3(AA)、Apple HIG〕
1.3 文字
文字サイズ
| 対象 | ルール | 根拠 |
|---|---|---|
| 拡大 | 必須 支援技術なしで200%まで拡大しても、内容と機能が失われない。 | WCAG 1.4.4(AA) |
| リフロー | 必須 幅320 CSS px(1280pxの画面を400%に拡大した状態)で、縦スクロールだけで読める。 | WCAG 1.4.10(AA) |
| 文字間隔の変更 | 必須 行の高さを文字サイズの1.5倍、段落の間隔を2倍、字間を0.12倍、語間を0.16倍にしても、表示が崩れない。 | WCAG 1.4.12(AA) |
| iOS・iPadOS | 本文の既定17pt、最小11pt | Apple HIG |
| macOS | 本文の既定13pt、最小10pt | Apple HIG |
| watchOS | 本文の既定16pt、最小12pt | Apple HIG |
| OSの文字サイズ設定 | Dynamic Type(iOS)やフォントサイズ設定(Android)に追従し、200%以上(watchOSは140%以上)まで拡大できる。 | Apple HIG |
| Web | 本文はブラウザの既定値(16px)より小さくしない。 |
- 必須 ロゴなどを除き、文字を画像にしない。画像の文字は拡大・読み上げ・翻訳ができない。〔WCAG 1.4.5(AA)〕
- 文字サイズは相対単位で指定する(Webは
rem・em、Androidはsp)。利用者の設定で拡大できるようになる。
書体と組版の共通ルール
- 小さな文字や遠くから読む文字は、ゴシック体(サンセリフ体)にする。明朝体の細い横線は、視力の低い人には見えにくい。〔伝わるデザイン〕
- UDフォント(BIZ UDゴシック、BIZ UD明朝、イワタUDゴシック、モリサワUD新ゴなど)は、濁点・半濁点や似た字形が判別しやすい。BIZ UDゴシック・BIZ UD明朝は無料で使える。〔伝わるデザイン〕
- 過度な長体(縦長の変形)や極細のウェイトを使わない。細いウェイトを使う場合は、文字を大きくする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン、Apple HIG〕
- 欧文の全大文字・長いイタリック・装飾書体を本文に使わない。〔Microsoft〕
- 行送りは文字サイズの1.5倍以上にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 紙やスライドでは、行間を文字サイズの約0.7倍(行送り約1.7倍)にすると読みやすい。〔伝わるデザイン〕
- 左揃えを基本にする。センタリングを混在させず、揃え方を統一する。〔伝わるデザイン〕
- 両端揃えで字間が不均一になる場合は、左揃えにする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕
- 1行の長さは全角40字以内にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 1行が10字以下になると読みにくい。〔伝わるデザイン〕
- 強調は太字を使い、下線はリンクや重要箇所に限る。赤文字だけで強調しない。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
1.4 図・アイコン・画像
- 必須 意味のある画像に、内容を説明する代替テキストを付ける。〔WCAG 1.1.1(A)〕
- 必須 装飾だけの画像は、支援技術が読み上げないようにする。Webは
alt=""、AndroidはcontentDescriptionにnullを渡す。〔WCAG 1.1.1(A)、Android Developers〕 - 必須 アイコンだけのボタンには、機能を表す名前(アクセシブルネーム)を付ける。〔WCAG 4.1.2(A)〕
- 必須 見えるラベルの文字列を、アクセシブルネームに含める。音声操作で「送信」と言えば押せるようにする。〔WCAG 2.5.3(A)〕
- 必須 グラフや図は、代替テキストで要点を伝える。詳細なデータは表やテキストでも提供する。〔WCAG 1.1.1(A)〕
- 必須 画像認証(CAPTCHA)には、音声など別の方式を用意する。〔WCAG 1.1.1(A)〕
- アイコンだけのボタンには、見えるラベルも併記する。
- 説明には見た目ではなく、操作の目的と結果を書く。種類(ボタンなど)はロール属性で伝え、説明文に「ボタン」と書かない。〔Android Developers〕
- リスト内の各項目の説明は、項目ごとに固有にする(例:都市名を含める)。〔Android Developers〕
- OSやデザインシステムの標準アイコンを使い、同じ意味のアイコンを全画面で統一する。
1.5 レイアウト
- 必須 読み上げの順序(DOMの順序)を、見た目の順序と一致させる。〔WCAG 1.3.2(A)〕
- 必須 縦向き・横向きのどちらでも使えるようにする。〔WCAG 1.3.4(AA)〕
- 必須 見出し・リスト・表・フォームのラベルを、HTMLの要素やOSのセマンティクスで正しく表す。見出しは階層を正しく使う。スクリーンリーダーの利用者は見出しで移動する。〔WCAG 1.3.1(A)〕
- 必須 固定ヘッダーやバナーで、フォーカスした要素を完全に隠さない。〔WCAG 2.4.11(AA)〕
- 必須 ホバー・フォーカスで表示される内容(ツールチップなど)は、Escキーで消せる、ポインタを載せても消えない、利用者が閉じるまで残る、の3条件を満たす。〔WCAG 1.4.13(AA)〕
- 関連する要素を近くにまとめ、グループの間に余白をとる。
- 入力欄のラベルは、入力欄の上か左に近接して置く。
- 見出しは左上に置く。〔伝わるデザイン〕
- 認知的な負担を減らす場合は、1画面で1つの操作に絞り、多段階の手続きを画面ごとに分ける。〔Apple HIG〕
1.6 動き・点滅
- 必須 1秒間に3回を超えて閃光を出さない。光過敏性発作を防ぐためである。〔WCAG 2.3.1(A)〕
- 必須 5秒を超えて自動で動く・スクロールする・点滅する内容は、一時停止・停止・非表示にできるようにする。〔WCAG 2.2.2(A)〕
- OSの「視差効果を減らす」設定(CSSの
prefers-reduced-motion)がオンのとき、自動・反復のアニメーションを減らす。〔Apple HIG〕 - 動きを減らす具体策として、弾むアニメーションを抑える、奥行き方向の動きをやめる、移動をフェードに置き換える、ぼかしのアニメーションを避ける。〔Apple HIG〕
- 操作をきっかけにしたアニメーションは、無効にできるようにする。〔WCAG 2.3.3(AAA)〕
- 動画や音声を自動再生しない。自動再生する場合は、見つけやすい停止手段を用意する。〔Apple HIG〕
- 動画再生では、iOSの「光の点滅を抑える」設定に対応する。〔Apple HIG〕
1.7 光・照明
- 光に敏感な人のために、ダークモードに対応する。〔Apple HIG〕
- 全面の白や高輝度の色の面を、急に表示しない。
1.8 音
- 必須 操作の説明を、音だけに頼って伝えない(例:「ビープ音が鳴ったら次へ進む」だけの説明)。〔WCAG 1.3.3(A)〕
- 必須 3秒を超えて自動再生される音声は、停止か音量調整ができるようにする。〔WCAG 1.4.2(A)〕
- 必須 収録済みの動画に字幕を付ける。〔WCAG 1.2.2(A)〕
- 必須 音声だけのコンテンツには、書き起こしテキストを付ける。〔WCAG 1.2.1(A)〕
- 必須 映像だけで伝わる情報には、音声解説を付ける。〔WCAG 1.2.5(AA)〕
- 必須 ライブ配信の音声に、リアルタイム字幕を付ける。〔WCAG 1.2.4(AA)〕
- 成功音・エラー音などの効果音には、同じ意味の視覚表示を併用する。〔Apple HIG〕
- 字幕の文字サイズや背景を、利用者が変更できるようにする。〔Apple HIG〕
- 動画・音声コンテンツの詳しいルールは動画・音声を参照する。
1.9 触覚
- 音による合図にハプティクス(振動)を組み合わせる。音を消している人や聞こえない人にも伝わる。〔Apple HIG〕
2. 操作
2.1 操作対象の大きさ・間隔
| 対象 | ルール | 根拠 |
|---|---|---|
| Web(最低) | 必須 24×24 CSS px以上。または、24pxの円を各ターゲットの中心に置いたとき、円が他のターゲットや円と重ならない間隔 | WCAG 2.5.8(AA) |
| Web(推奨) | 44×44 CSS px以上 | WCAG 2.5.5(AAA) |
| iOS・iPadOS・watchOS | 既定44×44pt、最小28×28pt | Apple HIG |
| macOS | 既定28×28pt、最小20×20pt | Apple HIG |
| visionOS | 既定60×60pt、最小28×28pt | Apple HIG |
| tvOS | 既定66×66pt、最小56×56pt | Apple HIG |
| Android | 48×48dp以上。マウスなど精密な入力では小さくしてよい。 | Android Developers |
| 間隔 | 枠のある要素の周囲に約12pt、枠のない要素の周囲に約24ptの余白をとる。 | Apple HIG |
2.2 入力方法
- 必須 すべての機能をキーボードだけで操作できるようにする。〔WCAG 2.1.1(A)〕
- 必須 キーボードのフォーカスが、ある部品から抜け出せなくならないようにする。〔WCAG 2.1.2(A)〕
- 必須 フォーカスの位置が見えるようにする。〔WCAG 2.4.7(AA)〕
- 必須 フォーカスの移動順序を、意味の通る順にする。〔WCAG 2.4.3(A)〕
- 必須 繰り返し表示されるナビゲーションを飛ばして本文に移動できるようにする。〔WCAG 2.4.1(A)〕
- 必須 1文字だけのキーボードショートカットは、無効化・変更ができるか、フォーカス時だけ有効にする。〔WCAG 2.1.4(A)〕
- 必須 複数の指や軌跡を使うジェスチャー(ピンチ、スワイプの軌跡など)には、1本指のタップで済む代替手段を用意する。〔WCAG 2.5.1(A)〕
- 必須 指を置いた瞬間ではなく、離したときに実行する。押し間違いを指をずらして取り消せるようにする。〔WCAG 2.5.2(A)〕
- 必須 ドラッグでしかできない操作に、クリックやタップでの代替手段を用意する。〔WCAG 2.5.7(AA)〕
- 必須 端末を振る・傾けるなどの動きで動く機能は、画面上の操作でも実行でき、動きへの反応を無効にできるようにする。〔WCAG 2.5.4(A)〕
- スワイプで削除する操作には、ボタンでの削除も用意する。〔Apple HIG〕
- よく使う操作には最も単純なジェスチャーを使い、複数の指や両手を使う独自ジェスチャーを避ける。〔Apple HIG〕
- 音声コントロール、スイッチコントロール、フルキーボードアクセス、AssistiveTouchで操作できるか確認する。〔Apple HIG〕
- OSが定義したキーボードショートカットを上書きしない。〔Apple HIG〕
2.3 身体的負担
- 長押し・連打・素早い操作を必須にしない。
- 片手でも主要な操作ができるようにする。
- 繰り返し行う操作は、ショートカットや自動化(iOSのショートカット、Siri)に対応する。〔Apple HIG〕
2.4 時間
- 必須 制限時間は、解除できる、既定の10倍以上に延長できる、終了の20秒以上前に警告して簡単な操作で延長できる(10回以上)、のいずれかを満たす。リアルタイムの競売などは例外である。〔WCAG 2.2.1(A)〕
- タイマーで自動的に消える表示(トーストなど)を避け、利用者の操作で閉じるようにする。〔Apple HIG〕
- ゲームでは、反応時間や難易度を調整できるようにする。〔Apple HIG〕
2.5 誤操作への対策
- 必須 フォーカスを移しただけで、ページ遷移などの大きな変化を起こさない。〔WCAG 3.2.1(A)〕
- 必須 入力や選択をしただけで、予告なく大きな変化を起こさない。〔WCAG 3.2.2(A)〕
- 必須 入力エラーは、箇所と内容を文字で示す。〔WCAG 3.3.1(A)〕
- 必須 修正方法がわかる場合は、修正案を示す。〔WCAG 3.3.3(AA)〕
- 必須 契約・金銭・データの変更や削除を伴う送信は、取り消せる、送信前に確認できる、入力を検査して修正できる、のいずれかを満たす。〔WCAG 3.3.4(AA)〕
- ファイルの削除など取り返しのつかない操作は、確認を求める。〔Apple HIG〕
3. 理解
3.1 言葉
文の書き方
- 一文を短くし、一文に言いたいことを1つだけ入れる。〔公用文作成の考え方、やさしい日本語ガイドライン〕
- 3つ以上の情報を並べるときは、箇条書きにする。〔公用文作成の考え方、やさしい日本語ガイドライン〕
- 結論を先に示し、続けて理由や詳細を書く。〔公用文作成の考え方〕
- 「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」の語順で書き、主語と述語の関係がわかるようにする。〔公用文作成の考え方〕
- 回りくどい言い方や不要な繰り返しを使わない(例:「調査を実施した」→「調査した」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 二重否定を使わない(例:「在留カード以外は必要ありません」→「在留カードを持ってきてください」)。〔やさしい日本語ガイドライン、公用文作成の考え方〕
- 受身形や使役表現をできる限り使わない。行動の主体がわかりにくくなる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 係る語と受ける語、指示語と指示される語を近くに置く。〔公用文作成の考え方〕
言葉の選び方
- 難しい言葉や専門用語をできる限り使わない。使う場合は説明を添える。〔公用文作成の考え方〕
- 外来語(カタカナ語)は、ほかに適切な言葉がない場合だけ使う(例:スキーム→計画、コンセンサス→合意)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 略語を使わない(例:「健診」→「健康診断」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「くらい」「ごろ」「なるべく」などの曖昧な表現を使わない。時間や数字は具体的に書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「結構です」のように複数の意味をもつ表現を使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「おそらく」「ようです」などの推測表現を避ける。断定できない場合は「〜かもしれません」を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 言い換えが難しい重要な言葉はそのまま使い、説明を添える(例:余震<=後から来る地震>)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 外国人向けの文書では、文末を「です」「ます」にそろえ、尊敬語・謙譲語を使わない。指示は「〜してください」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 作成後、日本語教師や対象の外国人に、わかりやすいか確認してもらう。〔やさしい日本語ガイドライン〕
Web・アプリ固有のルール
- 必須 各ページに、内容を表すタイトル(
<title>)を付ける。〔WCAG 2.4.2(A)〕 - 必須 見出しとラベルは、内容や目的がわかる言葉にする。〔WCAG 2.4.6(AA)〕
- 必須 リンクの文言と文脈で、リンク先がわかるようにする。「こちら」「詳しくはこちら」だけのリンクにしない。〔WCAG 2.4.4(A)〕✕ 「こちら」だけのリンク
申込書はこちら。
記入例はこちら。リンクだけを読み上げると、行き先がわからない。
◯ 行き先がわかる文言申込書(PDF、120KB)
申込書の記入例(PDF、300KB)リンクだけを読んでも行き先と形式がわかる。
- 必須 入力欄に、見えるラベルか説明を付ける。〔WCAG 3.3.2(A)〕✕ プレースホルダーだけ氏名電話番号
入力を始めると項目名が消える。薄い文字は読みにくい。
◯ 見えるラベルと入力例氏名例:山田 太郎電話番号例:03-1234-5678入力中もラベルが残り、形式もわかる。
- 必須 「右の赤いボタンを押す」のように、形・色・位置・音だけで指示しない。〔WCAG 1.3.3(A)〕
- プレースホルダーをラベルの代わりにしない。入力を始めると消えてしまう。
- ボタンの文言は「送信する」「保存する」のように、押した結果がわかる動詞にする。
3.2 情報構造
- 必須 サイト内のページに、2つ以上の到達方法(メニュー、検索、サイトマップなど)を用意する。〔WCAG 2.4.5(AA)〕
- 必須 「送信しました」「3件見つかりました」などの状態メッセージを、フォーカスを移さずに支援技術へ伝える(ARIAのlive領域など)。〔WCAG 4.1.3(AA)〕
- 多段階の手続きでは、全体の段階数と現在の段階を示す。
- 重要な情報を画面の上部に置く。
3.3 一貫性
- 必須 複数のページで繰り返すナビゲーションは、同じ順序で表示する。〔WCAG 3.2.3(AA)〕
- 必須 同じ機能の部品には、全ページで同じ名前・アイコンを使う。〔WCAG 3.2.4(AA)〕
- 必須 ヘルプ(問い合わせ先、チャットなど)は、全ページで同じ相対位置に置く。〔WCAG 3.2.6(A)〕
- OS標準の部品とジェスチャーを使う。利用者が操作を新しく覚えずに済む。〔Apple HIG〕
3.4 記憶への負担
- 必須 同じ手続きの中で一度入力した情報を、再入力させない。自動入力するか、選択肢として示す。〔WCAG 3.3.7(A)〕
- 必須 パズルや記憶力のテストだけに頼る認証にしない。パスワードの貼り付けや、パスワード管理ツールの自動入力を妨げない。〔WCAG 3.3.8(AA)〕
- 必須 氏名・住所・電話番号などの入力欄に、入力目的を機械が判別できる属性(HTMLの
autocomplete)を付ける。〔WCAG 1.3.5(AA)〕 - 前の画面で見た情報を覚えておく必要がないように、必要な情報を同じ画面に表示する。
3.5 表記
数字
- 横書きでは算用数字を使う。〔公用文作成の考え方〕
- 大きな数は3桁ごとにコンマで区切る(例:1,254,372人)。兆・億・万の単位は漢字で書く(例:30万円)。〔公用文作成の考え方〕
- 全角・半角の使い分けを文書内で統一する。〔公用文作成の考え方〕
- 概数や「一つ」「一人」などの言葉は漢数字で書く。〔公用文作成の考え方〕
日付・時刻
- 元号だけで書かず、西暦を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 年月日を「/」で区切らず、「2020年6月4日」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 時刻は午前・午後を明記する(24時間表記でもよい)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 期間は「〇〇から△△まで」と書く。「〜」は誤解を生むため使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「年度」は具体的な日付で書き換える。使う場合は最初に説明する。〔やさしい日本語ガイドライン〕
ふりがな・漢字
- 外国人や子どもが読む文書では、漢字の量を抑え、すべての漢字にふりがなをつける。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなは漢字の上か、漢字の後ろの括弧に入れる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなを入れた文書とは別に、ふりがなのない版も用意する。ふりがなは機械翻訳を妨げる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ローマ字で日本語を書かない。外国人がローマ字を日本語の発音どおりに読めるとは限らない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
記号
- 括弧は( )と「 」を基本にし、他の括弧は用法を統一して使う。〔公用文作成の考え方〕
Web・アプリ固有のルール
- 日付・電話番号・郵便番号の入力欄には、入力形式の例を示す。
- 全角・半角、ハイフンの有無などの入力形式の違いは、システム側で吸収する。
3.6 多言語
- 必須 ページの主な言語を指定する(HTMLの
lang属性)。読み上げソフトが正しい発音で読む。〔WCAG 3.1.1(A)〕 - 必須 一部分だけ別の言語で書く場合は、その部分の言語を指定する。〔WCAG 3.1.2(AA)〕
- 外国人向けの情報は、多言語版に加えて「やさしい日本語」版を用意する。〔やさしい日本語ガイドライン〕
4. 使用環境
- 屋外の明るい場所や画面の明るさを下げた状態でも読めるよう、コントラストに余裕をもたせる。〔Apple HIG〕
- 片手がふさがっている、揺れる乗り物の中にいるなどの状況を想定し、ターゲットを大きくする。
5. 支援技術・代替形式
- 必須 すべてのUI部品の名前・役割・状態(チェック済みなど)を、支援技術が取得できるようにする。独自部品にはARIAやOSのアクセシビリティAPIで設定する。〔WCAG 4.1.2(A)〕
- スクリーンリーダー(iOSのVoiceOver、AndroidのTalkBack、WindowsのNVDA)で、実際に操作して確認する。
- iOSのアクセシビリティインスペクタ、AndroidのLintやユーザー補助検証ツールで問題を検出する。〔Apple HIG、Android Developers〕
- 認知障害のある人向けのiOSのアシスティブアクセスでは、主要な機能に絞り、不要な画面要素を減らす。〔Apple HIG〕
- App Storeのアクセシビリティ栄養ラベルで、対応している支援機能を示す。〔Apple HIG〕
- 文書はPDFよりHTMLで提供する。PDFで提供する場合は、タグ付きPDFにする。
6. 法規・規格
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| WCAG 2.2(W3C、2023年) | Webコンテンツのアクセシビリティの国際基準である。 |
| JIS X 8341-3:2016 | 日本のWebアクセシビリティ規格である。WCAG 2.0と一致する。 |
| WCAG2ICT(W3C、2024年) | WCAG 2.2をアプリや電子文書などWeb以外に適用する方法を示す。 |
| 障害者差別解消法 | 2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供が法的義務になった。顧客を含む製品・サービスの利用者が対象である。 |
| 欧州アクセシビリティ法(EAA) | 2025年6月28日から適用された。EU域内で対象の製品・サービス(EC、銀行、電子書籍など)を提供する企業は、域外の企業も対象になる。適合の目安として使われるEN 301 549は、WCAG 2.1 AAを含む。 |
7. チェックリスト
- グレースケールと色覚シミュレーションで、情報が区別できるか。
- 文字のコントラストが4.5:1以上(大きな文字は3:1以上)、UI部品が3:1以上あるか。
- 200%拡大と幅320pxの表示で、内容が欠けず、横スクロールが出ないか。
- すべての操作をキーボードだけで行え、フォーカスが常に見えるか。
- ターゲットが24px以上(推奨44px、Androidは48dp)あるか。
- 画像に代替テキスト、アイコンボタンに名前があるか。
- 見出し・ラベル・リンクの文言で内容がわかるか。
- エラーを文字で示し、修正方法を示しているか。
- 点滅が1秒3回以下で、自動で動く内容を止められるか。
- 動画に字幕、音声に書き起こしがあるか。
- スクリーンリーダー(VoiceOver・TalkBack・NVDA)で最後まで操作できるか。
- OSの文字サイズ・コントラスト・動きを減らす設定に追従するか。
8. 出典
- W3C, Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2(新しいタブで開く)
- W3C, WCAG2ICT(Guidance on Applying WCAG 2 to Non-Web ICT)(新しいタブで開く)
- Apple, Human Interface Guidelines: Accessibility(新しいタブで開く)
- Android Developers「アプリのユーザー補助機能を強化する」(新しいタブで開く)
- 川崎市総務局「公文書作成におけるカラーUDガイドライン」(新しいタブで開く)
- カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」(新しいタブで開く)
- 高橋佑磨・片山なつ「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」(新しいタブで開く)
- 国土交通省「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン(旅客施設編)」令和7年9月(新しいタブで開く)
- 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(新しいタブで開く)
- 文化審議会「公用文作成の考え方(建議)」2022年(新しいタブで開く)
- 字幕付きCM普及推進協議会「字幕付きCMハンドブック」2019年(新しいタブで開く)
- JIS S 0013:2022 アクセシブルデザイン-消費生活用製品の報知音(新しいタブで開く)
- 岡部正隆・伊藤啓「Color Universal Design」(Okabe–Itoパレット)(新しいタブで開く)
- NC State University, The Center for Universal Design(7原則)(新しいタブで開く)
- Machado, G. M., Oliveira, M. M., & Fernandes, L. A. F. (2009). A Physiologically-based Model for Simulation of Color Vision Deficiency. IEEE TVCG, 15(6).(色覚シミュレーションの計算方法)