0. 前提
0.1 このガイドラインの読み方
- 必須 は規格・法令・国際基準が要求する水準を示す。
- ラベルのない項目は、規格の推奨値や、公的機関・専門機関の推奨を示す。
- 根拠にした規格・資料は、末尾の「出典」にまとめている。
- 章立ては全媒体で共通である。同じ番号の節には、どの媒体でも同じ種類の情報が載っている。
- その媒体に当てはまらない節は省いている。
0.2 ユニバーサルデザインの7原則
ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター(1997)が定めた原則である。本ガイドラインの具体ルールは、いずれかの原則に対応する。
| 原則 | 設計上の意味 |
|---|---|
| 1. 公平な利用 | 誰でも同じ方法で使える。特定の人だけを別扱いしない。 |
| 2. 利用における柔軟性 | 利き手・速度・入力方法などを選べる。 |
| 3. 単純で直感的な利用 | 経験・知識・言語能力に依存せず使い方がわかる。 |
| 4. 認知できる情報 | 視覚・聴覚・触覚など複数の感覚で情報を伝える。 |
| 5. 失敗に対する寛大さ | 誤操作が危険につながらず、取り消せる。 |
| 6. 少ない身体的な努力 | 無理な姿勢や強い力を必要としない。 |
| 7. 接近や利用のためのサイズと空間 | 体格・姿勢・移動手段にかかわらず届き、操作できる。 |
0.3 利用者の多様性
色覚
- 日本人男性の約5%(20人に1人)、女性の約0.2%(500人に1人)が一般色覚と異なる色覚をもつ。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 内訳はD型(2型)が男性の約3.5%、P型(1型)が約1.5%である。どちらも赤〜緑の範囲の色の区別が難しい。
- P型では赤が暗く見える。濃い赤は黒とほぼ区別できない。
- 色相の区別は難しいが、明度差には敏感である。
加齢・視力
- 白内障では水晶体が濁り、青系統の光を通しにくくなる。青が暗く見えて黒と区別しにくくなり、白とクリーム色、緑と青、同系色や淡い色同士も区別しにくくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 白内障の総患者数(継続的に治療を受けている人)は140万人を超え、65歳以上の人口の約5.6%にあたる。〔川崎市カラーUDガイドライン(2011年)〕
- 視力が低下したロービジョンの人は、文字に近づいて読んだり、画面を拡大したりする。視野が欠けている人は、大きすぎる文字の一部しか見えないことがある。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
聴覚
- 加齢で耳が遠くなった人を含めると、難聴の人は全国で約3,000万人と想定されている。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 加齢で高い周波数の音から聞こえにくくなる。〔JIS S 0013〕
言語・認知
- 在留外国人は約293万人(2019年末)で、上位10の国籍・地域の公用語だけで9言語になる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 日本語を「日常生活に困らない言語」とする外国人は約63%である。情報発信の言語として「やさしい日本語」を希望する外国人は76%である。〔やさしい日本語ガイドライン概要〕
- 情報の処理に時間がかかる人、多くの手順を覚えられない人、光や音の刺激に敏感な人もいる。
状況による制約
- 障害がなくても、騒音下で音が聞こえない、屋外で画面が見えにくい、片手がふさがっているなど、一時的に同じ困難が生じる。
0.4 この媒体の前提
- 印刷物は、白黒でコピーされ、照明の条件が異なる場所で読まれる。
- 読み手が文字を拡大したり、読み上げたりすることが難しい。代替形式の用意が必要になる。
- 画面のRGBと印刷のCMYKでは、同じ色でも発色が異なる。
- ポスター・掲示物は、離れた位置から立ったまま読まれる。
1. 知覚
1.1 色
避ける色の組み合わせ
必須 次の組み合わせで情報を区別しない。右3列は、左の2色がP型・D型の色覚でどう見えるかを示すシミュレーションである。〔WCAG 1.4.1、川崎市カラーUDガイドライン、国交省バリアフリー整備ガイドライン、伝わるデザイン〕
シミュレーションはMachadoら(2009)の2色覚モデル(強度)で算出した。実際の見え方には個人差がある。
高齢者(白内障)で見分けにくい組み合わせ
青が暗く見えるため黒と区別できない。
水晶体の黄変で白が黄みを帯び、差が消える。白とクリーム色も同様である。
文字色と背景色の組み合わせ
必須 明度差のない文字と背景、混同しやすい色同士の文字と背景を使わない。色背景の上に色文字を重ねず、明るい背景には暗い文字、暗い背景には明るい文字を置く。〔WCAG 1.4.3、川崎市カラーUDガイドライン〕
暗い背景に文字を置くときは、赤ではなく白・黄・クリームにする。
色の選び方
- 赤は濃い赤ではなく、朱色やオレンジ寄りの赤を使う。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤や茶と並べる緑は、青みの強い緑にする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 彩度の低いパステル調の色同士を組み合わせない。彩度の高い色同士か、彩度の高い色と低い色を組み合わせる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 暖色同士・寒色同士を並べず、暖色と寒色を組み合わせる。〔伝わるデザイン〕
- 3色を使うときは、明るい色・中間の色・暗い色を1つずつ選んで明度差をつける。
- 色数を絞る。多くの色を使うと、どこが重要かが誰にも伝わらなくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤い面を他の色と接するときは、境目に細い白線を入れる。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 色で区別させたいものは、面積を広く、線を太くする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 色名で指示される可能性がある場合は、色名を併記する(例:「ピンク(A票)」)。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
色だけに頼らない
必須 色は情報を補強する手段として使う。色が見分けられない人や白黒コピーでも伝わるよう、次のいずれかを併用する。〔川崎市カラーUDガイドライン、WCAG 1.4.1〕
- 形(○△□、ピクトグラム、アイコン)
- 位置(凡例をデータの横に置く、並び順を固定する)
- 線種(実線・破線・点線)と線の太さ
- 塗りのパターン(斜線・ドット・ハッチング)
- 文字(ラベル、「必須」「エラー」などの言葉、太字、下線)
- 境界線(隣り合う面の間の線)
P型・D型ではAとB、CとDが同じ色に見える。凡例との対応も取れない。
白黒印刷でも4本を区別できる。
提出期限は 10月15日(水) です。
P型では黒文字と区別できず、強調に気づけない。
提出期限は 10月15日(水) です。
色が見えなくても太字と下線で強調が伝わる。
推奨カラーパレット
CUD推奨配色セット ver.4(カラーユニバーサルデザイン機構)は、一般色覚・P型・D型・弱視・白内障の人による評価を経て選ばれた20色である。20色のどの組み合わせでもよいわけではない。組み合わせるときは明度差をつけ、シミュレーションで確認する。
CUD推奨配色セット:アクセントカラー(サイン・グラフ・文字色向け)
CUD推奨配色セット:ベースカラー(地図・背景など広い面積向け)
CUD推奨配色セット:無彩色
印刷用のCMYK値と塗料用のマンセル値は、CUDOのガイドブックに記載されている。
Okabe–Ito パレット(国際的に使われる8色)
必須 どちらのパレットも、白背景の文字色に使うと4.5:1に届かない色が多い。文字色に使う場合は、個別にコントラスト比を確認する。〔WCAG 1.4.3〕
確認方法
- グレースケールに変換し、区別すべき要素が明度差だけで区別できるか確認する。
- 色覚シミュレーション(P型・D型)で確認する。ブラウザの開発者ツール(ChromeのRendering › Emulate vision deficiencies)、Adobe製品の校正設定(P型・D型)、スマートフォンの色覚シミュレーションアプリを使う。
印刷物固有のルール
- 白黒で印刷・コピーしても、すべての情報が区別できるようにする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 祝日・休業日を赤文字だけで示さない。記号・塗り・文字を併用する。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
✕ 休日を赤文字だけで示す P型では赤い数字が黒と区別できない。白黒コピーでも消える。
◯ 塗りと「休」の文字を加える 色が見えなくても、白黒でも休日がわかる。
- 地図・路線図・区分図は、色分けに加えて境界線・ハッチング・記号・名称を入れる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
✕ 色分けだけで区分し、凡例が離れている P型・D型では赤・緑・茶・オレンジが似た色に見え、どの区かわからない。
◯ 境界線・ハッチング・名称を加える 模様と区名で、色がわからなくても白黒でも区別できる。
- 赤ペンでの加筆や押印の赤は、黒と区別できない場合がある。重要な加筆は下線や囲みを併用する。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 用紙の色で書類を区別する場合は、用紙に名称や記号も印刷する。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 印刷ではCUD推奨配色セットのCMYK値を使い、校正刷りで発色を確認する。〔CUDO〕
- 色つきの用紙や再生紙に印刷する場合は、用紙の色を背景色としてコントラストを確認する。
1.2 コントラスト
コントラスト比はWCAGの相対輝度に基づく値で、1:1(同じ色)から21:1(白と黒)までの値をとる。Webの基準であるが、他の媒体でも判断の目安として使える。
| 対象 | 最低基準(AA) | 高い基準(AAA) |
|---|---|---|
| 通常の文字 | 4.5:1 以上 | 7:1 以上 |
| 大きな文字(18pt=24px以上、または太字14pt=約18.7px以上) | 3:1 以上 | 4.5:1 以上 |
| アイコン・入力欄の枠・グラフの線など、文字以外の意味のある要素 | 隣接色に対して 3:1 以上 | ― |
- 必須 写真やグラデーションの上に文字を置くときは、文字の背後に単色の帯や縁取りを入れ、背景の最も明るい部分でも基準を満たす。〔WCAG 1.4.3〕
- 長文の本文は、純黒(#000)より濃いグレー(#1A1A1A〜#333)、背景は純白より淡いグレーやクリームにすると、まぶしさが減る。〔伝わるデザイン〕
- コントラスト比は、WebAIM Contrast Checker、Colour Contrast Analyser(TPGi)などのツールで確認する。
印刷物固有のルール
- 網掛け(薄い色の背景)の上に文字を置く場合は、網掛けを薄くし、文字との明度差を大きくする。
- 裏写りしない厚さの用紙を使う。
1.3 文字
文字サイズ
JIS S 0032は、年齢・視距離・明るさから、日本語の1文字を読める最小の文字サイズを推定する方法を定めている。次の表は、70歳・視距離0.5m・輝度60 cd/m²での推定例である。
| 文字の種類 | ゴシック体 | 明朝体 |
|---|---|---|
| 平仮名・片仮名・数字 | 約12.2pt | 約14.4pt |
| 漢字(5〜10画) | 約15pt | 約16.6pt |
| 漢字(11〜15画) | 約16.5pt | 約17.4pt |
- この値は「読める最小」であり、眼疾患のない人を前提にしている。高齢者向けの文書では、この値より大きくする。〔愛知県産業技術研究所〕
- 同じ条件では、ゴシック体のほうが明朝体より小さなサイズで読める。
- 画数の多い漢字ほど、大きなサイズが必要になる。
| 対象 | 目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 取扱説明書などの本文 | 9〜16pt(活字の高さ3.2〜5.6mm) | JIS S 0137 |
| 標題・短いメッセージ | 見る距離に応じて活字の高さ4mm以上 | JIS S 0137 |
| 高齢者向けの文書の本文 | ゴシック体で、かな・数字だけなら約12pt以上、漢字を含む文は約15〜16.5pt以上 | JIS S 0032の推定例(70歳、視距離0.5m)から |
| ふりがな | 読める大きさにし、行と行の間を空ける。 | やさしい日本語ガイドライン |
| ポスター・掲示物の本文(1〜2mから読む) | 約28pt以上 | 国交省バリアフリー整備ガイドライン(視距離1〜2mで和文の文字高9mm以上)から換算 |
| ポスター・掲示物のタイトル(4〜5mから読む) | 約63pt以上 | 国交省バリアフリー整備ガイドライン(視距離4〜5mで和文の文字高20mm以上)から換算 |
ポスター・掲示物の値は、国交省ガイドラインの文字高(「木」の高さ)を、文字サイズの約9割として換算した目安である。例えば、9mm÷0.9÷0.353mm/pt≒28.3pt、20mm÷0.9÷0.353mm/pt≒63ptとなる。
書体と組版
書体と組版の共通ルール
- 小さな文字や遠くから読む文字は、ゴシック体(サンセリフ体)にする。明朝体の細い横線は、視力の低い人には見えにくい。〔伝わるデザイン〕
- UDフォント(BIZ UDゴシック、BIZ UD明朝、イワタUDゴシック、モリサワUD新ゴなど)は、濁点・半濁点や似た字形が判別しやすい。BIZ UDゴシック・BIZ UD明朝は無料で使える。〔伝わるデザイン〕
- 過度な長体(縦長の変形)や極細のウェイトを使わない。細いウェイトを使う場合は、文字を大きくする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン、Apple HIG〕
- 欧文の全大文字・長いイタリック・装飾書体を本文に使わない。〔Microsoft〕
- 行送りは文字サイズの1.5倍以上にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 紙やスライドでは、行間を文字サイズの約0.7倍(行送り約1.7倍)にすると読みやすい。〔伝わるデザイン〕
- 左揃えを基本にする。センタリングを混在させず、揃え方を統一する。〔伝わるデザイン〕
- 両端揃えで字間が不均一になる場合は、左揃えにする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕
- 1行の長さは全角40字以内にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 1行が10字以下になると読みにくい。〔伝わるデザイン〕
- 強調は太字を使い、下線はリンクや重要箇所に限る。赤文字だけで強調しない。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 縦組みの文書では漢数字を使い、横組みでは算用数字を使う。〔公用文作成の考え方〕
1.4 図・アイコン・画像
- 文章だけで伝えにくい内容は、イラスト・写真・図・表で補う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- グラフの凡例は、線や棒の横に直接書く。〔伝わるデザイン〕
- 図は関係する文章の近くに置く。〔JIS S 0137〕
- 手順を示す図は、文章と並べて手順の順に配置する。〔JIS S 0137〕
- ピクトグラムは、JIS Z 8210(案内用図記号)の標準のものを使う。
1.5 レイアウト
- 見出しで内容を区切り、見出しだけ読めば全体がわかるようにする。
- 段組の読む順序が一目でわかるようにする。段の間に十分な余白か罫線を入れる。
- ポスターは、左上から右下へ読む順序が一目でわかる段組にし、各ブロックに番号付きの見出しを付ける。
✕ 読む順序がわからない配置 どこから読めばよいかわからない。
◯ 番号付きの見出しと段組 番号と段組で、読む順序がひと目でわかる。
- 2ページ以上の文書にはページ番号を付ける。4ページを超える文書には目次・索引などを付ける。〔JIS S 0137〕
帳票(記入用紙)
- 記入欄は、手書きで無理なく書ける大きさにする。
- 記入例を付ける。
- 必須項目を色だけで示さない。「必須」と文字で書く。✕ 必須項目を色だけで示す氏名生年月日勤務先※ピンクの欄は必ず記入してください。
色が見分けられない人や白黒コピーでは、どれが必須かわからない。
◯ 「必須」と書き、記入例を付ける氏名必須例:山田 太郎生年月日必須例:1980年4月1日勤務先必須が文字で伝わり、書き方も迷わない。
- 記入する順序に沿って欄を並べ、同じ情報を何度も書かせない。
1.7 光・照明
- 光沢の強い用紙は照明が反射して読みにくい。長文の文書とポスターには、マット系の用紙を使う。
- 暗い場所で読まれるポスター・掲示物は、文字を大きくし、コントラストを高くする。
- 屋外に掲示する印刷物は、日光による退色を想定し、色だけに頼らない表示にする。
1.9 触覚
- 視覚障害のある人に送る封書には、点字や切り込みで差出人や種類を識別できるようにする。
3. 理解
3.1 言葉
文の書き方
- 一文を短くし、一文に言いたいことを1つだけ入れる。〔公用文作成の考え方、やさしい日本語ガイドライン〕
- 3つ以上の情報を並べるときは、箇条書きにする。〔公用文作成の考え方、やさしい日本語ガイドライン〕
- 結論を先に示し、続けて理由や詳細を書く。〔公用文作成の考え方〕
- 「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」の語順で書き、主語と述語の関係がわかるようにする。〔公用文作成の考え方〕
- 回りくどい言い方や不要な繰り返しを使わない(例:「調査を実施した」→「調査した」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 二重否定を使わない(例:「在留カード以外は必要ありません」→「在留カードを持ってきてください」)。〔やさしい日本語ガイドライン、公用文作成の考え方〕
- 受身形や使役表現をできる限り使わない。行動の主体がわかりにくくなる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 係る語と受ける語、指示語と指示される語を近くに置く。〔公用文作成の考え方〕
言葉の選び方
- 難しい言葉や専門用語をできる限り使わない。使う場合は説明を添える。〔公用文作成の考え方〕
- 外来語(カタカナ語)は、ほかに適切な言葉がない場合だけ使う(例:スキーム→計画、コンセンサス→合意)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 略語を使わない(例:「健診」→「健康診断」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「くらい」「ごろ」「なるべく」などの曖昧な表現を使わない。時間や数字は具体的に書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「結構です」のように複数の意味をもつ表現を使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「おそらく」「ようです」などの推測表現を避ける。断定できない場合は「〜かもしれません」を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 言い換えが難しい重要な言葉はそのまま使い、説明を添える(例:余震<=後から来る地震>)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 外国人向けの文書では、文末を「です」「ます」にそろえ、尊敬語・謙譲語を使わない。指示は「〜してください」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 作成後、日本語教師や対象の外国人に、わかりやすいか確認してもらう。〔やさしい日本語ガイドライン〕
3.2 情報構造
- 伝えたいことを整理し、読み手に必要な情報に絞る。必要なら適切なタイトルを付ける。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 不足している情報を補う(例:「市区町村に提出」→「市区町村の役所に提出」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 料金や条件は、文章ではなく表にまとめる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 分量の上限を決めておく。〔公用文作成の考え方〕
- ポスター・掲示物は、タイトル・結論・図を離れた位置からでも読める大きさにし、詳細は近づいて読む構成にする。
3.3 一貫性
- 用語・表記・書式を文書全体で統一する。〔公用文作成の考え方〕
- シリーズの印刷物では、見出し・連絡先・日付の位置を統一する。
3.4 記憶への負担
- 手続きの手順は番号付きの箇条書きにする。
- 別の書類を参照させる場合は、書類名とページを明記する。
3.5 表記
数字
- 横書きでは算用数字を使う。〔公用文作成の考え方〕
- 大きな数は3桁ごとにコンマで区切る(例:1,254,372人)。兆・億・万の単位は漢字で書く(例:30万円)。〔公用文作成の考え方〕
- 全角・半角の使い分けを文書内で統一する。〔公用文作成の考え方〕
- 概数や「一つ」「一人」などの言葉は漢数字で書く。〔公用文作成の考え方〕
日付・時刻
- 元号だけで書かず、西暦を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 年月日を「/」で区切らず、「2020年6月4日」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 時刻は午前・午後を明記する(24時間表記でもよい)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 期間は「〇〇から△△まで」と書く。「〜」は誤解を生むため使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「年度」は具体的な日付で書き換える。使う場合は最初に説明する。〔やさしい日本語ガイドライン〕
ふりがな・漢字
- 外国人や子どもが読む文書では、漢字の量を抑え、すべての漢字にふりがなをつける。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなは漢字の上か、漢字の後ろの括弧に入れる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなを入れた文書とは別に、ふりがなのない版も用意する。ふりがなは機械翻訳を妨げる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ローマ字で日本語を書かない。外国人がローマ字を日本語の発音どおりに読めるとは限らない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
記号
- 括弧は( )と「 」を基本にし、他の括弧は用法を統一して使う。〔公用文作成の考え方〕
3.6 多言語
- 外国人向けには、多言語版と「やさしい日本語」版を用意する。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 漢字圏・非漢字圏など、対象者の言語背景に合わせて、漢字かな交じり文とひらがな文を用意する。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 外国語を併記する場合は、日本語と外国語の対応がわかる配置にする。
4. 使用環境
- ポスター・掲示物は、見る距離から読めるかを実際の距離で確認する。
5. 支援技術・代替形式
- 点字版、拡大文字版、音声版、テキストデータ版を、求めに応じて提供できるようにする。
- 電子データで配布する場合は、読み上げ可能なタグ付きPDFかテキストにする。画像だけのPDFにしない。
- 印刷物に二次元コードを付け、Webページや音声で同じ内容を読めるようにする。
6. 法規・規格
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| JIS S 0032:2003 | 日本語文字の最小可読文字サイズの推定方法を定める。 |
| JIS S 0137:2000 | 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針である。文字サイズや構成の目安を示す。 |
| 障害者差別解消法 | 2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供が法的義務になった。点字版や拡大文字版の提供を求められた場合が該当しうる。 |
7. チェックリスト
- 白黒でコピーしても、すべての情報が区別できるか。
- 本文は想定読者の年齢と読む距離に合う文字サイズか(70歳が0.5mで読む場合、漢字を含む文はゴシック体で約15pt以上)。
- ポスター・掲示物の本文は、1〜2mから読む場合に約28pt以上あるか。
- 赤文字だけで強調していないか。
- 文字と背景のコントラストが十分か(写真・網掛けの上の文字を含む)。
- 一文が短く、3つ以上の情報を箇条書きにしているか。
- 日付・時刻・期間を誤解のない形式で書いているか。
- 帳票に記入例があり、記入欄が十分な大きさか。
- 点字版・拡大文字版・電子データ版の求めに応じられるか。
8. 出典
- JIS S 0032:2003 日本語文字の最小可読文字サイズ推定方法(新しいタブで開く)
- 愛知県産業技術研究所「愛産研ニュース」2007年10月号(最小可読文字サイズの推定例)(新しいタブで開く)
- JIS S 0137:2000 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針(新しいタブで開く)
- 伝わるデザイン「文字組み」(新しいタブで開く)
- 川崎市総務局「公文書作成におけるカラーUDガイドライン」(新しいタブで開く)
- カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」(新しいタブで開く)
- 高橋佑磨・片山なつ「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」(新しいタブで開く)
- 国土交通省「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン(旅客施設編)」令和7年9月(新しいタブで開く)
- 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(新しいタブで開く)
- 文化審議会「公用文作成の考え方(建議)」2022年(新しいタブで開く)
- 字幕付きCM普及推進協議会「字幕付きCMハンドブック」2019年(新しいタブで開く)
- JIS S 0013:2022 アクセシブルデザイン-消費生活用製品の報知音(新しいタブで開く)
- 岡部正隆・伊藤啓「Color Universal Design」(Okabe–Itoパレット)(新しいタブで開く)
- NC State University, The Center for Universal Design(7原則)(新しいタブで開く)
- Machado, G. M., Oliveira, M. M., & Fernandes, L. A. F. (2009). A Physiologically-based Model for Simulation of Color Vision Deficiency. IEEE TVCG, 15(6).(色覚シミュレーションの計算方法)