0. 前提
0.1 このガイドラインの読み方
- 必須 は規格・法令・国際基準が要求する水準を示す。
- ラベルのない項目は、規格の推奨値や、公的機関・専門機関の推奨を示す。
- 根拠にした規格・資料は、末尾の「出典」にまとめている。
- 章立ては全媒体で共通である。同じ番号の節には、どの媒体でも同じ種類の情報が載っている。
- その媒体に当てはまらない節は省いている。
0.2 ユニバーサルデザインの7原則
ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター(1997)が定めた原則である。本ガイドラインの具体ルールは、いずれかの原則に対応する。
| 原則 | 設計上の意味 |
|---|---|
| 1. 公平な利用 | 誰でも同じ方法で使える。特定の人だけを別扱いしない。 |
| 2. 利用における柔軟性 | 利き手・速度・入力方法などを選べる。 |
| 3. 単純で直感的な利用 | 経験・知識・言語能力に依存せず使い方がわかる。 |
| 4. 認知できる情報 | 視覚・聴覚・触覚など複数の感覚で情報を伝える。 |
| 5. 失敗に対する寛大さ | 誤操作が危険につながらず、取り消せる。 |
| 6. 少ない身体的な努力 | 無理な姿勢や強い力を必要としない。 |
| 7. 接近や利用のためのサイズと空間 | 体格・姿勢・移動手段にかかわらず届き、操作できる。 |
0.3 利用者の多様性
色覚
- 日本人男性の約5%(20人に1人)、女性の約0.2%(500人に1人)が一般色覚と異なる色覚をもつ。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 内訳はD型(2型)が男性の約3.5%、P型(1型)が約1.5%である。どちらも赤〜緑の範囲の色の区別が難しい。
- P型では赤が暗く見える。濃い赤は黒とほぼ区別できない。
- 色相の区別は難しいが、明度差には敏感である。
加齢・視力
- 白内障では水晶体が濁り、青系統の光を通しにくくなる。青が暗く見えて黒と区別しにくくなり、白とクリーム色、緑と青、同系色や淡い色同士も区別しにくくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 白内障の総患者数(継続的に治療を受けている人)は140万人を超え、65歳以上の人口の約5.6%にあたる。〔川崎市カラーUDガイドライン(2011年)〕
- 視力が低下したロービジョンの人は、文字に近づいて読んだり、画面を拡大したりする。視野が欠けている人は、大きすぎる文字の一部しか見えないことがある。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
聴覚
- 加齢で耳が遠くなった人を含めると、難聴の人は全国で約3,000万人と想定されている。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 加齢で高い周波数の音から聞こえにくくなる。〔JIS S 0013〕
言語・認知
- 在留外国人は約293万人(2019年末)で、上位10の国籍・地域の公用語だけで9言語になる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 日本語を「日常生活に困らない言語」とする外国人は約63%である。情報発信の言語として「やさしい日本語」を希望する外国人は76%である。〔やさしい日本語ガイドライン概要〕
- 情報の処理に時間がかかる人、多くの手順を覚えられない人、光や音の刺激に敏感な人もいる。
状況による制約
- 障害がなくても、騒音下で音が聞こえない、屋外で画面が見えにくい、片手がふさがっているなど、一時的に同じ困難が生じる。
0.4 この媒体の基準の位置づけ
- ガイドラインは整備内容を3段階で示す。「移動等円滑化基準に基づく整備内容」(義務)、「標準的な整備内容」、「望ましい整備内容」である。本ページでは、義務に必須を付け、標準的・望ましい整備内容はラベルなしで示す。
- 公共交通機関の旅客施設には、バリアフリー法の移動等円滑化基準が適用される。国交省のバリアフリー整備ガイドラインは、その具体的な整備内容を示す。
- サインは、情報内容・表現様式・掲出位置の3要素で見やすさとわかりやすさが決まる。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
1. 知覚
1.1 色
避ける色の組み合わせ
必須 次の組み合わせで情報を区別しない。右3列は、左の2色がP型・D型の色覚でどう見えるかを示すシミュレーションである。〔WCAG 1.4.1、川崎市カラーUDガイドライン、国交省バリアフリー整備ガイドライン、伝わるデザイン〕
シミュレーションはMachadoら(2009)の2色覚モデル(強度)で算出した。実際の見え方には個人差がある。
高齢者(白内障)で見分けにくい組み合わせ
青が暗く見えるため黒と区別できない。
水晶体の黄変で白が黄みを帯び、差が消える。白とクリーム色も同様である。
文字色と背景色の組み合わせ
必須 明度差のない文字と背景、混同しやすい色同士の文字と背景を使わない。色背景の上に色文字を重ねず、明るい背景には暗い文字、暗い背景には明るい文字を置く。〔WCAG 1.4.3、川崎市カラーUDガイドライン〕
暗い背景に文字を置くときは、赤ではなく白・黄・クリームにする。
色の選び方
- 赤は濃い赤ではなく、朱色やオレンジ寄りの赤を使う。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤や茶と並べる緑は、青みの強い緑にする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 彩度の低いパステル調の色同士を組み合わせない。彩度の高い色同士か、彩度の高い色と低い色を組み合わせる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 暖色同士・寒色同士を並べず、暖色と寒色を組み合わせる。〔伝わるデザイン〕
- 3色を使うときは、明るい色・中間の色・暗い色を1つずつ選んで明度差をつける。
- 色数を絞る。多くの色を使うと、どこが重要かが誰にも伝わらなくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤い面を他の色と接するときは、境目に細い白線を入れる。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 色で区別させたいものは、面積を広く、線を太くする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 色名で指示される可能性がある場合は、色名を併記する(例:「ピンク(A票)」)。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
色だけに頼らない
必須 色は情報を補強する手段として使う。色が見分けられない人や白黒コピーでも伝わるよう、次のいずれかを併用する。〔川崎市カラーUDガイドライン、WCAG 1.4.1〕
- 形(○△□、ピクトグラム、アイコン)
- 位置(凡例をデータの横に置く、並び順を固定する)
- 線種(実線・破線・点線)と線の太さ
- 塗りのパターン(斜線・ドット・ハッチング)
- 文字(ラベル、「必須」「エラー」などの言葉、太字、下線)
- 境界線(隣り合う面の間の線)
P型・D型ではAとB、CとDが同じ色に見える。凡例との対応も取れない。
白黒印刷でも4本を区別できる。
提出期限は 10月15日(水) です。
P型では黒文字と区別できず、強調に気づけない。
提出期限は 10月15日(水) です。
色が見えなくても太字と下線で強調が伝わる。
推奨カラーパレット
CUD推奨配色セット ver.4(カラーユニバーサルデザイン機構)は、一般色覚・P型・D型・弱視・白内障の人による評価を経て選ばれた20色である。20色のどの組み合わせでもよいわけではない。組み合わせるときは明度差をつけ、シミュレーションで確認する。
CUD推奨配色セット:アクセントカラー(サイン・グラフ・文字色向け)
CUD推奨配色セット:ベースカラー(地図・背景など広い面積向け)
CUD推奨配色セット:無彩色
印刷用のCMYK値と塗料用のマンセル値は、CUDOのガイドブックに記載されている。
Okabe–Ito パレット(国際的に使われる8色)
必須 どちらのパレットも、白背景の文字色に使うと4.5:1に届かない色が多い。文字色に使う場合は、個別にコントラスト比を確認する。〔WCAG 1.4.3〕
確認方法
- グレースケールに変換し、区別すべき要素が明度差だけで区別できるか確認する。
- 色覚シミュレーション(P型・D型)で確認する。ブラウザの開発者ツール(ChromeのRendering › Emulate vision deficiencies)、Adobe製品の校正設定(P型・D型)、スマートフォンの色覚シミュレーションアプリを使う。
サイン固有のルール
- 路線・車両種別などを色で示す場合は、文字や記号を併記する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 出口に関する表示は黄色にする(旅客施設の場合)。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン、JIS Z 9103〕
安全色
安全標識の色は、意味が規格で決まっている。安全色の色度は、2018年の改正で色覚の多様性・ロービジョン・加齢に配慮した値になった。〔JIS Z 9103:2018〕
| 安全色 | 意味 | 対比色 | 使用例 |
|---|---|---|---|
| 赤 | 禁止 | 白 | 禁煙、飲料不適、接触禁止 |
| 赤 | 防火 | 白 | 火災報知機、消火設備、消火器 |
| 黄 | 注意警告 | 黒 | 高温注意、バイオハザード、電圧注意 |
| 青 | 指示 | 白 | 保護めがね着用、保護具着用、手洗い励行 |
| 緑 | 安全状態 | 白 | 救護室、非常口、避難所 |
- 必須 安全標識の色を、規格と異なる意味で使わない。〔JIS Z 9101〕
- 安全色以外の案内サインで、安全色と紛らわしい配色を使わない。
1.2 コントラスト
コントラスト比はWCAGの相対輝度に基づく値で、1:1(同じ色)から21:1(白と黒)までの値をとる。Webの基準であるが、他の媒体でも判断の目安として使える。
| 対象 | 最低基準(AA) | 高い基準(AAA) |
|---|---|---|
| 通常の文字 | 4.5:1 以上 | 7:1 以上 |
| 大きな文字(18pt=24px以上、または太字14pt=約18.7px以上) | 3:1 以上 | 4.5:1 以上 |
| アイコン・入力欄の枠・グラフの線など、文字以外の意味のある要素 | 隣接色に対して 3:1 以上 | ― |
- 必須 写真やグラデーションの上に文字を置くときは、文字の背後に単色の帯や縁取りを入れ、背景の最も明るい部分でも基準を満たす。〔WCAG 1.4.3〕
- 長文の本文は、純黒(#000)より濃いグレー(#1A1A1A〜#333)、背景は純白より淡いグレーやクリームにすると、まぶしさが減る。〔伝わるデザイン〕
- コントラスト比は、WebAIM Contrast Checker、Colour Contrast Analyser(TPGi)などのツールで確認する。
サイン固有のルール
- サインの図色と地色、表示要素どうしの明度・色相・彩度の差(輝度コントラスト)を大きくし、色覚の異なる人も容易に識別できるようにする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
1.3 文字
視距離と文字の高さ
各視距離から判読するために通常有効な文字の大きさで、最低限の目安である。文字高は、和文では指定書体の「木」の高さ、英文では「E」の高さを指す。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
| 視距離 | 和文の文字高 | 英文の文字高 |
|---|---|---|
| 30 m | 120 mm 以上 | 90 mm 以上 |
| 20 m | 80 mm 以上 | 60 mm 以上 |
| 10 m | 40 mm 以上 | 30 mm 以上 |
| 4〜5 m | 20 mm 以上 | 15 mm 以上 |
| 1〜2 m | 9 mm 以上 | 7 mm 以上 |
- 壁付けの案内サインは視距離4〜5m以下、案内サインの見出しは10m程度に設定することが一般的である。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 表の値は最低限の目安である。ロービジョンの人の利用を考慮する場合は、より大きな文字にする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 視野が欠けている人は、近づいて読む場合に極端に大きな文字の一部しか見えない。近づいて読む可能性のあるサインでは、文字の大きさに配慮する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
書体
- 書体は、視認性の高い角ゴシック体にする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 長体化した文字には、上の表の値が当てはまらない。可変式情報表示装置(電光表示)でも同じである。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
書体と組版の共通ルール
- 小さな文字や遠くから読む文字は、ゴシック体(サンセリフ体)にする。明朝体の細い横線は、視力の低い人には見えにくい。〔伝わるデザイン〕
- UDフォント(BIZ UDゴシック、BIZ UD明朝、イワタUDゴシック、モリサワUD新ゴなど)は、濁点・半濁点や似た字形が判別しやすい。BIZ UDゴシック・BIZ UD明朝は無料で使える。〔伝わるデザイン〕
- 過度な長体(縦長の変形)や極細のウェイトを使わない。細いウェイトを使う場合は、文字を大きくする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン、Apple HIG〕
- 欧文の全大文字・長いイタリック・装飾書体を本文に使わない。〔Microsoft〕
- 行送りは文字サイズの1.5倍以上にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 紙やスライドでは、行間を文字サイズの約0.7倍(行送り約1.7倍)にすると読みやすい。〔伝わるデザイン〕
- 左揃えを基本にする。センタリングを混在させず、揃え方を統一する。〔伝わるデザイン〕
- 両端揃えで字間が不均一になる場合は、左揃えにする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕
- 1行の長さは全角40字以内にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 1行が10字以下になると読みにくい。〔伝わるデザイン〕
- 強調は太字を使い、下線はリンクや重要箇所に限る。赤文字だけで強調しない。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
1.4 図・アイコン・ピクトグラム
- 必須 エレベーター、傾斜路、便所、乗車券等販売所、待合所、案内所、休憩設備の付近には、その設備があることを示す標識を設ける。標識はJIS Z 8210に適合させる(旅客施設の場合)。〔移動等円滑化基準 第11条〕
- 言語によらず意味が伝わるよう、ピクトグラムを積極的に使う。〔観光庁 多言語対応ガイドライン〕
- エレベーターのある出入口の位置は、遠くからわかるよう大きなピクトグラムで示す。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 構内案内図の向きは、掲出場所の空間の左右と図の左右を一致させる。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
✕ 空間と図の左右が逆 図の上で右にあるものが、実際には左にある。
◯ 空間と図の左右をそろえる 向きを変換せずに、そのまま目的地へ向かえる。
- 案内図には、現在地と、バリアフリー化された経路を明示する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- サインはシンプルなデザインにする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
1.5 配置・掲出高さ
サインの種類と配置
| 種類 | 役割 |
|---|---|
| 誘導サイン | 施設などの方向を指示する。 |
| 位置サイン | 施設などの位置を告知する。 |
| 案内サイン | 位置関係や利用条件を案内する(構内案内図など)。 |
| 規制サイン | 利用者の行動を規制する。 |
- 4種類のサインを動線に沿って適所に配置し、必要な情報が連続して得られるようにする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 誘導サインは、動線の分岐点、階段の上り口と下り口、曲がり角に配置する。長い通路では、分岐がなくても繰り返し配置する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 位置サインは、告知する施設の間近に配置する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 誘導サインと位置サインの表示面は、動線と対面する向きに掲出する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 2台のサインを近くに掲出する場合は、手前のサインで奥のサインを遮らないよう十分に離す。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 表示する情報が多い場合は、主要な経路とバリアフリー設備の情報を優先する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 隣接する他社線や公共空間とは、表示する情報内容を統一し、案内が途切れないようにする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
掲出高さ
| 対象 | 目安 |
|---|---|
| 遠くから見るサイン | 視認位置からの見上げ角(仰角)10°以内で、できるだけ高い位置。混雑時に前方の歩行者に遮られにくく、車椅子使用者からも見える高さ |
| 近くから見るサイン(案内図・時刻表など) | 表示面の中心を床から135cm程度。立位の視点(約156cm)と車椅子の視点(約117.5cm)の中間 |
- 低い位置のサインは、混雑時に車椅子使用者から前の人の陰になり、近づくまで見えない。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- ロービジョンの人が近づいて読めるよう、壁付けのサインは接近できる位置、目の高さに掲出する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 券売機の上の運賃表は、並ぶ人に遮られず、車椅子使用者の見上げ角が小さくなるよう、できるだけ低い位置に掲出する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
1.6 動き・点滅
- 電光表示で文字をスクロール・切り替えする場合は、伝える情報量と利用実態に合わせて、表示の内容・頻度・言語を決める。〔観光庁 多言語対応ガイドライン〕
- 電光表示の点滅は、1秒間に3回を超えないようにする。〔WCAG 2.3.1〕
- 緊急情報は、電光表示と音声の両方で伝える。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
1.7 光・照明
- 照明の映り込み、外光・照明の逆光、光の反射で見にくくならないようにする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- サインの背景に照明や看板が来ないように配置する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 内照式サインは、必要な輝度が得られる器具にする。近くから見るサインは、まぶしさを感じにくい器具にする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
1.8 音
- 必須 旅客施設では、運行情報を文字で表示する設備と、音声で提供する設備を備える。〔移動等円滑化基準 第10条〕
- 音声案内は、周囲の騒音と比べて聞き取りやすい音量・音質にする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 「こちら側」のように、音源の位置を前提とした抽象的な表現を使わない。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- エレベーターでは、到着階に何があるか(地上出口、改札口など)を具体的に音声で案内する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 触知案内図の位置は、一定間隔でチャイムを鳴らすなどの音声案内で知らせる。〔JIS T 0922〕
1.9 触覚
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 設置高さ | 壁面に垂直に設置する場合、触る範囲の中心を床から1,400mm程度 |
| 全体の大きさ | 横1,000mm以内、縦600mm以内 |
| 線・面の高さ | 0.2〜0.5mm |
| 現在地の記号 | 高さ1〜5mm程度の半球形など、他の記号と高さが明らかに違う形 |
| 記号と説明文の間隔 | 5mm程度 |
| 点字 | JIS T 0921に従う |
- 手すり、エレベーターの乗り場とかご内の操作ボタンに、点字表示を付ける。点字の表示方法はJIS T 0921に従う。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 触知案内図の前には、視覚障害者誘導用ブロック(JIS T 9251)で誘導する。〔JIS T 0922〕
2. 操作
2.1 接近・届く範囲
- 触知案内図や近くで見る案内図の前には、車椅子使用者が近づける空間を確保する。
- 触知案内図は、手が届き、手を置きやすい高さと角度にする。〔JIS T 0922〕
3. 理解
3.1 言葉
- サインの文言は、短い名詞か、短い指示にする。
- 施設名や設備名は、利用者が一般的に使う言葉にする。
3.2 情報構造
- 構内案内図は、出入口付近や改札口付近から見える位置に配置する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 乗り換え経路を示す案内図は、経路が分岐する位置にも配置する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
3.3 一貫性
- サインの種類ごとに、デザイン・色・書体・ピクトグラムを統一する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 同じ施設・設備には、全サインで同じ名称を使う。
3.5 表記
数字
- 横書きでは算用数字を使う。〔公用文作成の考え方〕
- 大きな数は3桁ごとにコンマで区切る(例:1,254,372人)。兆・億・万の単位は漢字で書く(例:30万円)。〔公用文作成の考え方〕
- 全角・半角の使い分けを文書内で統一する。〔公用文作成の考え方〕
- 概数や「一つ」「一人」などの言葉は漢数字で書く。〔公用文作成の考え方〕
日付・時刻
- 元号だけで書かず、西暦を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 年月日を「/」で区切らず、「2020年6月4日」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 時刻は午前・午後を明記する(24時間表記でもよい)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 期間は「〇〇から△△まで」と書く。「〜」は誤解を生むため使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「年度」は具体的な日付で書き換える。使う場合は最初に説明する。〔やさしい日本語ガイドライン〕
ふりがな・漢字
- 外国人や子どもが読む文書では、漢字の量を抑え、すべての漢字にふりがなをつける。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなは漢字の上か、漢字の後ろの括弧に入れる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなを入れた文書とは別に、ふりがなのない版も用意する。ふりがなは機械翻訳を妨げる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ローマ字で日本語を書かない。外国人がローマ字を日本語の発音どおりに読めるとは限らない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
記号
- 括弧は( )と「 」を基本にし、他の括弧は用法を統一して使う。〔公用文作成の考え方〕
3.6 多言語
- 外国語は英語を基本にする。施設や地域の特性に応じて、中国語・韓国語などを加える。〔観光庁 多言語対応ガイドライン〕
- 「禁止・注意」と「名称・案内・誘導・位置」を示すサインには、英語を併記する。〔観光庁 多言語対応ガイドライン〕
- 出入口名、改札口名、行先、旅客施設名などの主要な用語には英語を併記する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
| 場合 | 方法 | 例 |
|---|---|---|
| 基本 | 固有名詞(ローマ字)+普通名詞(英語) | 成田空港 Narita Airport、日比谷公園 Hibiya Park |
| 固有名詞だけでは意味をなさない場合 | 固有名詞+普通名詞(ローマ字)+普通名詞(英語) | 清水寺 Kiyomizu-dera Temple、荒川 Arakawa River |
| 日本語の読みを伝える必要がある場合 | ローマ字(必要に応じて英語で意味を補う) | 茶碗 Chawan (Tea bowl) |
| 英語で広く通じる日本語 | ローマ字だけ | 温泉 Onsen、寿司 Sushi |
| ローマ字のつづり | ヘボン式 |
- サインに加えて、パンフレット、モバイル端末、係員の案内、音声案内を組み合わせて情報を補う。〔観光庁 多言語対応ガイドライン〕
4. 使用環境
- 移動しながら見ることを想定し、視認できる時間内に読める情報量にする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 夜間や屋外では、照明の当たり方と反射を現地で確認する。
5. 支援技術・代替形式
- 視覚障害者には、触知案内図、点字表示、音声案内、誘導用ブロックを組み合わせて情報を提供する。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
6. 法規・規格
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| バリアフリー法 移動等円滑化基準 | 旅客施設の標識(JIS Z 8210への適合)や運行情報の提供設備を義務づける。 |
| 国交省「バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編)」 | 旅客施設の整備内容を、義務・標準・望ましいの3段階で示す。 |
| JIS Z 8210 | 案内用図記号(ピクトグラム)を定める。 |
| JIS Z 9101:2018 | 安全標識のデザインと安全色の意味を定める。 |
| JIS Z 9103:2018 | 安全色の色度を定める。2018年に色覚の多様性に配慮した値に改正された。 |
| JIS T 0921 | 標識・設備・機器への点字の表示方法を定める。 |
| JIS T 0922 | 触知案内図の情報内容・形状・表示方法を定める。 |
| JIS T 9251 | 視覚障害者誘導用ブロックの形状・寸法・配列を定める。 |
| 観光庁「多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」(2014年) | 外国人向けの多言語表記の方法を定める。 |
7. チェックリスト
- 想定する視距離に対して、文字高が表の値以上あるか。
- 角ゴシック体を使い、過度な長体にしていないか。
- 図と地の明度差が大きく、青と黒・黄と白の組み合わせを使っていないか。
- 路線などを色で分ける場合に、文字や記号を併記しているか。
- 設備を示すピクトグラムがJIS Z 8210に適合しているか。
- 掲出高さが、混雑時や車椅子使用者の視点でも見える高さか。
- 照明の映り込みや逆光がないか。
- 案内図の向きが空間の左右と一致し、現在地が示されているか。
- 英語表記が「固有名詞のローマ字+普通名詞の英語」になっているか。
- 触知案内図・点字・音声案内で、視覚障害者にも情報が届くか。
8. 出典
- JIS Z 9101:2018 安全標識及び安全マーキングのデザイン通則(新しいタブで開く)
- JIS安全色(JIS Z 9103)改正内容の紹介(新しいタブで開く)
- JIS T 0922:2007 触知案内図の情報内容及び形状並びにその表示方法(新しいタブで開く)
- 観光庁「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」概要(新しいタブで開く)
- W3C, WCAG 2.2(新しいタブで開く)
- 川崎市総務局「公文書作成におけるカラーUDガイドライン」(新しいタブで開く)
- カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」(新しいタブで開く)
- 高橋佑磨・片山なつ「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」(新しいタブで開く)
- 国土交通省「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン(旅客施設編)」令和7年9月(新しいタブで開く)
- 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(新しいタブで開く)
- 文化審議会「公用文作成の考え方(建議)」2022年(新しいタブで開く)
- 字幕付きCM普及推進協議会「字幕付きCMハンドブック」2019年(新しいタブで開く)
- JIS S 0013:2022 アクセシブルデザイン-消費生活用製品の報知音(新しいタブで開く)
- 岡部正隆・伊藤啓「Color Universal Design」(Okabe–Itoパレット)(新しいタブで開く)
- NC State University, The Center for Universal Design(7原則)(新しいタブで開く)
- Machado, G. M., Oliveira, M. M., & Fernandes, L. A. F. (2009). A Physiologically-based Model for Simulation of Color Vision Deficiency. IEEE TVCG, 15(6).(色覚シミュレーションの計算方法)