0. 前提
0.1 このガイドラインの読み方
- 必須 は規格・法令・国際基準が要求する水準を示す。
- ラベルのない項目は、規格の推奨値や、公的機関・専門機関の推奨を示す。
- 根拠にした規格・資料は、末尾の「出典」にまとめている。
- 章立ては全媒体で共通である。同じ番号の節には、どの媒体でも同じ種類の情報が載っている。
- その媒体に当てはまらない節は省いている。
0.2 ユニバーサルデザインの7原則
ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター(1997)が定めた原則である。本ガイドラインの具体ルールは、いずれかの原則に対応する。
| 原則 | 設計上の意味 |
|---|---|
| 1. 公平な利用 | 誰でも同じ方法で使える。特定の人だけを別扱いしない。 |
| 2. 利用における柔軟性 | 利き手・速度・入力方法などを選べる。 |
| 3. 単純で直感的な利用 | 経験・知識・言語能力に依存せず使い方がわかる。 |
| 4. 認知できる情報 | 視覚・聴覚・触覚など複数の感覚で情報を伝える。 |
| 5. 失敗に対する寛大さ | 誤操作が危険につながらず、取り消せる。 |
| 6. 少ない身体的な努力 | 無理な姿勢や強い力を必要としない。 |
| 7. 接近や利用のためのサイズと空間 | 体格・姿勢・移動手段にかかわらず届き、操作できる。 |
0.3 利用者の多様性
色覚
- 日本人男性の約5%(20人に1人)、女性の約0.2%(500人に1人)が一般色覚と異なる色覚をもつ。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 内訳はD型(2型)が男性の約3.5%、P型(1型)が約1.5%である。どちらも赤〜緑の範囲の色の区別が難しい。
- P型では赤が暗く見える。濃い赤は黒とほぼ区別できない。
- 色相の区別は難しいが、明度差には敏感である。
加齢・視力
- 白内障では水晶体が濁り、青系統の光を通しにくくなる。青が暗く見えて黒と区別しにくくなり、白とクリーム色、緑と青、同系色や淡い色同士も区別しにくくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 白内障の総患者数(継続的に治療を受けている人)は140万人を超え、65歳以上の人口の約5.6%にあたる。〔川崎市カラーUDガイドライン(2011年)〕
- 視力が低下したロービジョンの人は、文字に近づいて読んだり、画面を拡大したりする。視野が欠けている人は、大きすぎる文字の一部しか見えないことがある。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
聴覚
- 加齢で耳が遠くなった人を含めると、難聴の人は全国で約3,000万人と想定されている。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 加齢で高い周波数の音から聞こえにくくなる。〔JIS S 0013〕
言語・認知
- 在留外国人は約293万人(2019年末)で、上位10の国籍・地域の公用語だけで9言語になる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 日本語を「日常生活に困らない言語」とする外国人は約63%である。情報発信の言語として「やさしい日本語」を希望する外国人は76%である。〔やさしい日本語ガイドライン概要〕
- 情報の処理に時間がかかる人、多くの手順を覚えられない人、光や音の刺激に敏感な人もいる。
状況による制約
- 障害がなくても、騒音下で音が聞こえない、屋外で画面が見えにくい、片手がふさがっているなど、一時的に同じ困難が生じる。
1. 知覚
1.1 色
避ける色の組み合わせ
必須 次の組み合わせで情報を区別しない。右3列は、左の2色がP型・D型の色覚でどう見えるかを示すシミュレーションである。〔WCAG 1.4.1、川崎市カラーUDガイドライン、国交省バリアフリー整備ガイドライン、伝わるデザイン〕
シミュレーションはMachadoら(2009)の2色覚モデル(強度)で算出した。実際の見え方には個人差がある。
高齢者(白内障)で見分けにくい組み合わせ
青が暗く見えるため黒と区別できない。
水晶体の黄変で白が黄みを帯び、差が消える。白とクリーム色も同様である。
文字色と背景色の組み合わせ
必須 明度差のない文字と背景、混同しやすい色同士の文字と背景を使わない。色背景の上に色文字を重ねず、明るい背景には暗い文字、暗い背景には明るい文字を置く。〔WCAG 1.4.3、川崎市カラーUDガイドライン〕
暗い背景に文字を置くときは、赤ではなく白・黄・クリームにする。
色の選び方
- 赤は濃い赤ではなく、朱色やオレンジ寄りの赤を使う。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤や茶と並べる緑は、青みの強い緑にする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 彩度の低いパステル調の色同士を組み合わせない。彩度の高い色同士か、彩度の高い色と低い色を組み合わせる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 暖色同士・寒色同士を並べず、暖色と寒色を組み合わせる。〔伝わるデザイン〕
- 3色を使うときは、明るい色・中間の色・暗い色を1つずつ選んで明度差をつける。
- 色数を絞る。多くの色を使うと、どこが重要かが誰にも伝わらなくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤い面を他の色と接するときは、境目に細い白線を入れる。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 色で区別させたいものは、面積を広く、線を太くする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 色名で指示される可能性がある場合は、色名を併記する(例:「ピンク(A票)」)。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
色だけに頼らない
必須 色は情報を補強する手段として使う。色が見分けられない人や白黒コピーでも伝わるよう、次のいずれかを併用する。〔川崎市カラーUDガイドライン、WCAG 1.4.1〕
- 形(○△□、ピクトグラム、アイコン)
- 位置(凡例をデータの横に置く、並び順を固定する)
- 線種(実線・破線・点線)と線の太さ
- 塗りのパターン(斜線・ドット・ハッチング)
- 文字(ラベル、「必須」「エラー」などの言葉、太字、下線)
- 境界線(隣り合う面の間の線)
P型・D型ではAとB、CとDが同じ色に見える。凡例との対応も取れない。
白黒印刷でも4本を区別できる。
提出期限は 10月15日(水) です。
P型では黒文字と区別できず、強調に気づけない。
提出期限は 10月15日(水) です。
色が見えなくても太字と下線で強調が伝わる。
推奨カラーパレット
CUD推奨配色セット ver.4(カラーユニバーサルデザイン機構)は、一般色覚・P型・D型・弱視・白内障の人による評価を経て選ばれた20色である。20色のどの組み合わせでもよいわけではない。組み合わせるときは明度差をつけ、シミュレーションで確認する。
CUD推奨配色セット:アクセントカラー(サイン・グラフ・文字色向け)
CUD推奨配色セット:ベースカラー(地図・背景など広い面積向け)
CUD推奨配色セット:無彩色
印刷用のCMYK値と塗料用のマンセル値は、CUDOのガイドブックに記載されている。
Okabe–Ito パレット(国際的に使われる8色)
必須 どちらのパレットも、白背景の文字色に使うと4.5:1に届かない色が多い。文字色に使う場合は、個別にコントラスト比を確認する。〔WCAG 1.4.3〕
確認方法
- グレースケールに変換し、区別すべき要素が明度差だけで区別できるか確認する。
- 色覚シミュレーション(P型・D型)で確認する。ブラウザの開発者ツール(ChromeのRendering › Emulate vision deficiencies)、Adobe製品の校正設定(P型・D型)、スマートフォンの色覚シミュレーションアプリを使う。
プロダクト固有のルール
- 表示灯(LED)の状態を、赤と緑などの色の違いだけで示さない。点灯・点滅・消灯のパターン、位置、文字、アイコンを併用する。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
✕ 赤と緑の色だけで状態を示す P型・D型では、どちらが点いているか区別しにくい。
◯ 文字と点滅パターンを加える 色がわからなくても、文字と点滅の有無で状態がわかる。
- 危険・警告の表示には、JIS Z 9101の安全色(禁止は赤、注意警告は黄、指示は青)を意味どおりに使う。〔JIS Z 9101〕
- 製品の色バリエーションや部品の色で機能を区別する場合は、形や刻印も変える。
1.2 コントラスト
コントラスト比はWCAGの相対輝度に基づく値で、1:1(同じ色)から21:1(白と黒)までの値をとる。Webの基準であるが、他の媒体でも判断の目安として使える。
| 対象 | 最低基準(AA) | 高い基準(AAA) |
|---|---|---|
| 通常の文字 | 4.5:1 以上 | 7:1 以上 |
| 大きな文字(18pt=24px以上、または太字14pt=約18.7px以上) | 3:1 以上 | 4.5:1 以上 |
| アイコン・入力欄の枠・グラフの線など、文字以外の意味のある要素 | 隣接色に対して 3:1 以上 | ― |
- 必須 写真やグラデーションの上に文字を置くときは、文字の背後に単色の帯や縁取りを入れ、背景の最も明るい部分でも基準を満たす。〔WCAG 1.4.3〕
- 長文の本文は、純黒(#000)より濃いグレー(#1A1A1A〜#333)、背景は純白より淡いグレーやクリームにすると、まぶしさが減る。〔伝わるデザイン〕
- コントラスト比は、WebAIM Contrast Checker、Colour Contrast Analyser(TPGi)などのツールで確認する。
プロダクト固有のルール
- 操作部の文字・記号は、背景との明度差を大きくする。本体と同じ色の刻印だけで表示しない。
✕ 本体と同じ色の刻印 文字と背景の明度差が小さく、読めない。
◯ 明度差の大きい印刷 明度差が大きく、ロービジョンの人や高齢者にも読める。
- 液晶表示は、屋外や明るい室内でも読めるコントラストにする。
1.3 文字
| 対象 | 目安 |
|---|---|
| 製品本体の表示 | 小文字の高さ(x-height)1.5mm以上 |
| 取扱説明書の本文 | 9〜16ポイント(活字の高さ3.2〜5.6mm) |
| 取扱説明書の標題・短いメッセージ | 見る距離に応じて活字の高さ4mm以上 |
- 本体表示の文字サイズは、利用者の年齢と読む距離から決める。高齢の利用者が多い製品は、JIS S 0032で最小可読文字サイズを推定して確認する。〔JIS S 0032〕
書体と組版の共通ルール
- 小さな文字や遠くから読む文字は、ゴシック体(サンセリフ体)にする。明朝体の細い横線は、視力の低い人には見えにくい。〔伝わるデザイン〕
- UDフォント(BIZ UDゴシック、BIZ UD明朝、イワタUDゴシック、モリサワUD新ゴなど)は、濁点・半濁点や似た字形が判別しやすい。BIZ UDゴシック・BIZ UD明朝は無料で使える。〔伝わるデザイン〕
- 過度な長体(縦長の変形)や極細のウェイトを使わない。細いウェイトを使う場合は、文字を大きくする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン、Apple HIG〕
- 欧文の全大文字・長いイタリック・装飾書体を本文に使わない。〔Microsoft〕
- 行送りは文字サイズの1.5倍以上にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 紙やスライドでは、行間を文字サイズの約0.7倍(行送り約1.7倍)にすると読みやすい。〔伝わるデザイン〕
- 左揃えを基本にする。センタリングを混在させず、揃え方を統一する。〔伝わるデザイン〕
- 両端揃えで字間が不均一になる場合は、左揃えにする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕
- 1行の長さは全角40字以内にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 1行が10字以下になると読みにくい。〔伝わるデザイン〕
- 強調は太字を使い、下線はリンクや重要箇所に限る。赤文字だけで強調しない。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
1.4 図・アイコン
- 操作部には、文字とアイコンを併記する。
- 取扱説明書の図は、関係する文章の近くに置き、必要以上の情報を入れない。〔JIS S 0137〕
- 操作手順の図は、文章と並べて手順の順に配置する。〔JIS S 0137〕
1.5 操作部の配置
- 操作部は、使用頻度と操作手順を考慮して、一貫性のある配置にする。〔JIS S 0012〕
- 表示部と、それに対応する操作部を近くに置く。
1.6 動き・点滅
- 表示灯の点滅は、1秒間に3回を超えないようにする。〔WCAG 2.3.1〕
- 点滅のパターンで状態を区別する場合は、取扱説明書と本体表示でパターンの意味を示す。
1.7 光・照明
- 表示灯や画面は、暗い部屋でまぶしすぎない明るさにするか、明るさを調整できるようにする。
- 光沢のある表面に表示を印刷すると、照明が反射して読みにくい。
1.8 音(報知音)
| 種類 | パターン |
|---|---|
| 受付・スタート音 | 「ピッ」:0.10〜0.15秒を1回 |
| 停止音 | 「ピー」:0.5〜0.6秒を1回 |
| 基点音 | 「ピピッ」:0.05〜0.075秒のONを2回(間のOFFはONより長くしない) |
| 操作無効音 | 「ピッピー」(ON 0.1秒・OFF 0.1秒・ON 0.5秒)、または「ピピピッ」などの短音3〜4回 |
| 終了音(近くで聞く) | 0.5〜1.0秒を1回 |
| 終了音(離れて聞く) | ON 0.3〜0.8秒・OFF 0.5〜1.0秒を繰り返す。 |
| 注意音 | 報知の原因がある間は鳴り終わらない。強注意音は途中で休止せず連続して繰り返す。 |
- 報知音の基本周波数は2.5kHz以下にする。加齢で高い音が聞こえにくくなるためである。〔JIS S 0013〕
- 周波数の選択肢を複数設ける。〔JIS S 0013〕
- 2つ以上の周波数成分をもつ複合音を使う。一部の周波数が聞き取りにくい人にも聞こえやすい。〔JIS S 0013〕
- 注意音を除き、報知音を止める手段を設ける。〔JIS S 0013〕
- 報知音の音圧は、使用環境の騒音(妨害音)と加齢による聴力の変化を考慮して決める。〔JIS S 0014〕
- 利用者が音量を調整できるようにする。〔JIS S 0013〕
1.9 触覚
凸点・凸バー
- 製品の基本機能を開始させる操作部(スタートなど)には、凸点を付ける。〔JIS S 0011〕
- 基本機能を停止・キャンセルさせる操作部には、凸バーを付ける。〔JIS S 0011〕
- 電源の入と切を1つの操作部で兼ねる場合は、凸点を付ける。〔JIS S 0011〕
- 増減を操作する操作部は、増加側に凸点を付ける。〔JIS S 0011〕
- 配列された操作部では、基準となる操作部に凸点か凸バーを付ける(例:テンキーの「5」、キーボードの「F」「J」)。〔JIS S 0011〕
| 種類 | 直径・幅 | 長さ | 高さ |
|---|---|---|---|
| 凸点 | 0.8〜2.0 mm | ― | 0.4〜0.8 mm(携帯する小形機器は0.3 mm以上) |
| 凸バー | 0.8〜2.0 mm | 幅の5〜10倍 | 0.4〜0.8 mm(携帯する小形機器は0.3 mm以上) |
包装・容器
- 中身の異なる似た形の容器は、触ってわかる記号で区別する(例:シャンプーの容器側面のきざみ)。〔JIS S 0021〕
- 開け口の位置を、見ても触ってもわかるようにする。〔JIS S 0021〕
- 切り口には、手で開けやすいようにV字などの切り込みを入れる。〔JIS S 0021〕
- 有害な内容物の容器には、特別な識別表示を付ける。〔JIS S 0021〕
- 開封のしやすさは、握力の弱い高齢者を含めて試験する。〔JIS S 0022〕
2. 操作
2.1 操作部の大きさ・間隔
- 操作部は、指先で確実に押せる大きさにし、隣の操作部と誤って押さない間隔をとる。〔JIS S 0012〕
- 画面をもつ製品のタッチ操作部は、Web・アプリの基準(44×44pt、48×48dpなど)を参考にする。〔Apple HIG、Android Developers〕
2.2 入力方法とフィードバック
- 操作の結果を、視覚・聴覚・触覚の複数の感覚で返す。〔JIS S 0012〕
- 操作の直後に、正常に受け付けたか、エラーかを知らせる。〔JIS S 0012〕
- 複数の段階がある操作では、現在どの段階にいるかを知らせる。〔JIS S 0012〕
- 左右どちらの手でも、片手で扱えるようにする。〔JIS S 0012〕
- 押す時間の長さで機能を使い分けない。軽く触れただけで作動しないようにする。〔JIS S 0012〕
2.3 身体的負担
- 手首をひねらずに操作できるようにし、操作に必要な力を最小限にする。〔JIS S 0012〕
- 大きな力が必要な場合は、てこの原理や補助機構を使う。〔JIS S 0012〕
- 密閉した包装は、できるだけ弱い力で開閉できるようにする。〔JIS S 0012〕
- 両手を同時に使う操作をできるだけ避ける。〔JIS S 0012〕
2.4 時間
- 入力に制限時間を設ける場合は、慣れない人でも頻繁に時間切れにならない長さにし、制限時間があることと残り時間を示す。可能なら利用者が時間を設定できるようにする。〔JIS S 0012〕
2.5 誤操作への対策
- 必須 誤操作したことを、表示・報知音・ランプなど複数の感覚で直ちに知らせる。〔JIS S 0012〕
- 必須 不用意に操作してはならない重要な操作部は、他の操作部から離し、ロック機構やカバーを設ける。チャイルドレジスタンスとシニアフレンドリーに配慮する。〔JIS S 0012〕
- 誤操作をしても、元の状態に簡単に戻れるようにする。〔JIS S 0012〕
- 危険を伴う操作は、2段階の操作や確認を必要にする。
3. 理解
3.1 言葉
文の書き方
- 一文を短くし、一文に言いたいことを1つだけ入れる。〔公用文作成の考え方、やさしい日本語ガイドライン〕
- 3つ以上の情報を並べるときは、箇条書きにする。〔公用文作成の考え方、やさしい日本語ガイドライン〕
- 結論を先に示し、続けて理由や詳細を書く。〔公用文作成の考え方〕
- 「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」の語順で書き、主語と述語の関係がわかるようにする。〔公用文作成の考え方〕
- 回りくどい言い方や不要な繰り返しを使わない(例:「調査を実施した」→「調査した」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 二重否定を使わない(例:「在留カード以外は必要ありません」→「在留カードを持ってきてください」)。〔やさしい日本語ガイドライン、公用文作成の考え方〕
- 受身形や使役表現をできる限り使わない。行動の主体がわかりにくくなる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 係る語と受ける語、指示語と指示される語を近くに置く。〔公用文作成の考え方〕
言葉の選び方
- 難しい言葉や専門用語をできる限り使わない。使う場合は説明を添える。〔公用文作成の考え方〕
- 外来語(カタカナ語)は、ほかに適切な言葉がない場合だけ使う(例:スキーム→計画、コンセンサス→合意)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 略語を使わない(例:「健診」→「健康診断」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「くらい」「ごろ」「なるべく」などの曖昧な表現を使わない。時間や数字は具体的に書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「結構です」のように複数の意味をもつ表現を使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「おそらく」「ようです」などの推測表現を避ける。断定できない場合は「〜かもしれません」を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 言い換えが難しい重要な言葉はそのまま使い、説明を添える(例:余震<=後から来る地震>)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 外国人向けの文書では、文末を「です」「ます」にそろえ、尊敬語・謙譲語を使わない。指示は「〜してください」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 作成後、日本語教師や対象の外国人に、わかりやすいか確認してもらう。〔やさしい日本語ガイドライン〕
取扱説明書の言葉
- 能動態で書き、受動態を避ける。〔JIS S 0137〕
- 簡潔で単純な表現にする。〔JIS S 0137〕
| 表示 | 対象となる危険の程度 |
|---|---|
| 危険 | 重大なリスク |
| 警告 | 中程度のリスク |
| 注意 | 軽度のリスク |
- 安全に関する表示は、大きな活字、異なる字体、シンボルマーク、目立つ色で強調する。〔JIS S 0137〕✕ 本文と同じ見た目で書く
分解や改造をすると、感電やけがをするおそれがあります。分解しないでください。
安全に関する記載だと気づかず、読み飛ばされる。
◯ シンボル・区分の言葉・大きな太字で示す警告
分解しないでください。感電やけがのおそれがあります。
危険の程度(警告)と、してはいけないことがひと目でわかる。
- 子ども・高齢者・障害者に対する危険にも配慮して記載する。〔JIS S 0137〕
3.2 情報構造
- 取扱説明書は、基本的な機能から順に説明する。〔JIS S 0137〕
- 2ページ以上の取扱説明書にはページ番号を付ける。4ページを超える場合は目次・索引などを付ける。〔JIS S 0137〕
- メニューの階層を深くしない。〔JIS S 0012〕
3.3 一貫性
- 同じシリーズの製品では、操作部の配置・記号・報知音を統一する。
- 報知音のパターンは、JIS S 0013の区分に合わせる。利用者が他の製品で覚えた意味がそのまま通じる。〔JIS S 0013〕
3.4 記憶への負担
- 操作手順を覚えなくても使えるよう、操作部の近くに手順や意味を表示する。
- 設定内容を画面や表示灯で確認できるようにする。
3.5 表記
数字
- 横書きでは算用数字を使う。〔公用文作成の考え方〕
- 大きな数は3桁ごとにコンマで区切る(例:1,254,372人)。兆・億・万の単位は漢字で書く(例:30万円)。〔公用文作成の考え方〕
- 全角・半角の使い分けを文書内で統一する。〔公用文作成の考え方〕
- 概数や「一つ」「一人」などの言葉は漢数字で書く。〔公用文作成の考え方〕
日付・時刻
- 元号だけで書かず、西暦を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 年月日を「/」で区切らず、「2020年6月4日」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 時刻は午前・午後を明記する(24時間表記でもよい)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 期間は「〇〇から△△まで」と書く。「〜」は誤解を生むため使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「年度」は具体的な日付で書き換える。使う場合は最初に説明する。〔やさしい日本語ガイドライン〕
ふりがな・漢字
- 外国人や子どもが読む文書では、漢字の量を抑え、すべての漢字にふりがなをつける。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなは漢字の上か、漢字の後ろの括弧に入れる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなを入れた文書とは別に、ふりがなのない版も用意する。ふりがなは機械翻訳を妨げる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ローマ字で日本語を書かない。外国人がローマ字を日本語の発音どおりに読めるとは限らない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
記号
- 括弧は( )と「 」を基本にし、他の括弧は用法を統一して使う。〔公用文作成の考え方〕
3.6 多言語
- 販売する国・地域の言語で取扱説明書を用意する。
4. 使用環境
- 濡れた手、手袋をした手、暗い場所でも操作できるか確認する。
5. 支援技術・代替形式
- 取扱説明書を、Webで読める電子版として提供する。スクリーンリーダーや拡大表示で読める形式にする。
- 求めに応じて、点字版・音声版・拡大文字版の取扱説明書を提供できるようにする。
- 画面をもつ製品は、音声読み上げや画面拡大などの支援機能を備える。
6. 法規・規格
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| JIS S 0011:2013 | 消費生活用製品の凸点・凸バーの表示方法と寸法を定める。 |
| JIS S 0012:2018 | 消費生活用製品の操作性の配慮事項を定める。 |
| JIS S 0013:2022 | 消費生活用製品の報知音のパターンと周波数を定める。 |
| JIS S 0014:2013 | 妨害音と加齢による聴力の変化を考慮した報知音の音圧を定める。 |
| JIS S 0021 | 包装・容器の配慮事項を定める。 |
| JIS S 0022 | 包装・容器の開封性の試験方法を定める。 |
| JIS S 0032:2003 | 日本語文字の最小可読文字サイズの推定方法を定める。 |
| JIS S 0137:2000 | 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針である。 |
| JIS Z 9101:2018 | 安全標識のデザインと安全色の意味を定める。 |
| 障害者差別解消法 | 2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供が法的義務になった。 |
| 欧州アクセシビリティ法(EAA) | 2025年6月28日から適用された。EU域内で販売するコンピューター、スマートフォン、ATMなどの製品は、域外の企業の製品も対象になる。 |
7. チェックリスト
- スタート・電源に凸点、停止に凸バーがあり、寸法が推奨範囲内か。
- 表示灯の状態を、色以外(点滅パターン・文字・位置)でも区別できるか。
- 報知音がJIS S 0013のパターンに合い、基本周波数が2.5kHz以下か。
- 音・光・表示の複数の方法で状態を伝えているか。
- 本体表示の小文字の高さが1.5mm以上あり、背景との明度差が大きいか。
- 誤操作をしても元に戻せるか。
- 弱い力で操作・開封できるか。
- 取扱説明書の安全表示が「危険・警告・注意」で区分され、色だけに頼っていないか。
8. 出典
- JIS S 0011:2013 消費生活用製品における凸点及び凸バー(新しいタブで開く)
- JIS S 0012:2018 消費生活製品の操作性(新しいタブで開く)
- JIS S 0013:2022 消費生活用製品の報知音(新しいタブで開く)
- JIS S 0014:2013 消費生活用製品の報知音-妨害音及び聴覚の加齢変化を考慮した音圧レベル(新しいタブで開く)
- 愛知県産業技術研究所「包装・容器の触覚識別」(新しいタブで開く)
- JIS S 0022:2001 包装・容器-開封性試験方法(新しいタブで開く)
- JIS S 0137:2000 消費生活用製品の取扱説明書に関する指針(新しいタブで開く)
- JIS Z 9101:2018 安全標識及び安全マーキングのデザイン通則(新しいタブで開く)
- Apple, Human Interface Guidelines: Accessibility(新しいタブで開く)
- Android Developers「アプリのユーザー補助機能を強化する」(新しいタブで開く)
- 川崎市総務局「公文書作成におけるカラーUDガイドライン」(新しいタブで開く)
- カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」(新しいタブで開く)
- 高橋佑磨・片山なつ「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」(新しいタブで開く)
- 国土交通省「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン(旅客施設編)」令和7年9月(新しいタブで開く)
- 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(新しいタブで開く)
- 文化審議会「公用文作成の考え方(建議)」2022年(新しいタブで開く)
- 字幕付きCM普及推進協議会「字幕付きCMハンドブック」2019年(新しいタブで開く)
- JIS S 0013:2022 アクセシブルデザイン-消費生活用製品の報知音(新しいタブで開く)
- 岡部正隆・伊藤啓「Color Universal Design」(Okabe–Itoパレット)(新しいタブで開く)
- NC State University, The Center for Universal Design(7原則)(新しいタブで開く)
- Machado, G. M., Oliveira, M. M., & Fernandes, L. A. F. (2009). A Physiologically-based Model for Simulation of Color Vision Deficiency. IEEE TVCG, 15(6).(色覚シミュレーションの計算方法)