0. 前提
0.1 このガイドラインの読み方
- 必須 は規格・法令・国際基準が要求する水準を示す。
- ラベルのない項目は、規格の推奨値や、公的機関・専門機関の推奨を示す。
- 根拠にした規格・資料は、末尾の「出典」にまとめている。
- 章立ては全媒体で共通である。同じ番号の節には、どの媒体でも同じ種類の情報が載っている。
- その媒体に当てはまらない節は省いている。
0.2 ユニバーサルデザインの7原則
ノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンター(1997)が定めた原則である。本ガイドラインの具体ルールは、いずれかの原則に対応する。
| 原則 | 設計上の意味 |
|---|---|
| 1. 公平な利用 | 誰でも同じ方法で使える。特定の人だけを別扱いしない。 |
| 2. 利用における柔軟性 | 利き手・速度・入力方法などを選べる。 |
| 3. 単純で直感的な利用 | 経験・知識・言語能力に依存せず使い方がわかる。 |
| 4. 認知できる情報 | 視覚・聴覚・触覚など複数の感覚で情報を伝える。 |
| 5. 失敗に対する寛大さ | 誤操作が危険につながらず、取り消せる。 |
| 6. 少ない身体的な努力 | 無理な姿勢や強い力を必要としない。 |
| 7. 接近や利用のためのサイズと空間 | 体格・姿勢・移動手段にかかわらず届き、操作できる。 |
0.3 利用者の多様性
色覚
- 日本人男性の約5%(20人に1人)、女性の約0.2%(500人に1人)が一般色覚と異なる色覚をもつ。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 内訳はD型(2型)が男性の約3.5%、P型(1型)が約1.5%である。どちらも赤〜緑の範囲の色の区別が難しい。
- P型では赤が暗く見える。濃い赤は黒とほぼ区別できない。
- 色相の区別は難しいが、明度差には敏感である。
加齢・視力
- 白内障では水晶体が濁り、青系統の光を通しにくくなる。青が暗く見えて黒と区別しにくくなり、白とクリーム色、緑と青、同系色や淡い色同士も区別しにくくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 白内障の総患者数(継続的に治療を受けている人)は140万人を超え、65歳以上の人口の約5.6%にあたる。〔川崎市カラーUDガイドライン(2011年)〕
- 視力が低下したロービジョンの人は、文字に近づいて読んだり、画面を拡大したりする。視野が欠けている人は、大きすぎる文字の一部しか見えないことがある。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
聴覚
- 加齢で耳が遠くなった人を含めると、難聴の人は全国で約3,000万人と想定されている。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 加齢で高い周波数の音から聞こえにくくなる。〔JIS S 0013〕
言語・認知
- 在留外国人は約293万人(2019年末)で、上位10の国籍・地域の公用語だけで9言語になる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 日本語を「日常生活に困らない言語」とする外国人は約63%である。情報発信の言語として「やさしい日本語」を希望する外国人は76%である。〔やさしい日本語ガイドライン概要〕
- 情報の処理に時間がかかる人、多くの手順を覚えられない人、光や音の刺激に敏感な人もいる。
状況による制約
- 障害がなくても、騒音下で音が聞こえない、屋外で画面が見えにくい、片手がふさがっているなど、一時的に同じ困難が生じる。
0.4 この媒体の前提
- 動画の情報は、映像と音声に分かれる。聞こえない人には音声の情報が、見えない人には映像だけの情報が届かない。
- 字幕には、音声を文字にしたキャプション(話者名や効果音も含む)と、別の言語に翻訳した字幕の2種類がある。〔Apple HIG〕
- テレビのクローズドキャプション(視聴者が表示を切り替える字幕)はフォントを指定できない。オープンキャプション(映像に焼き込んだ字幕・テロップ)は制作者が表示を決める。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 字幕の書き方には、公的に統一された基準がない。組織内で共通ルールを決めて運用する。〔PEPNet-Japan〕
1. 知覚
1.1 色
避ける色の組み合わせ
必須 次の組み合わせで情報を区別しない。右3列は、左の2色がP型・D型の色覚でどう見えるかを示すシミュレーションである。〔WCAG 1.4.1、川崎市カラーUDガイドライン、国交省バリアフリー整備ガイドライン、伝わるデザイン〕
シミュレーションはMachadoら(2009)の2色覚モデル(強度)で算出した。実際の見え方には個人差がある。
高齢者(白内障)で見分けにくい組み合わせ
青が暗く見えるため黒と区別できない。
水晶体の黄変で白が黄みを帯び、差が消える。白とクリーム色も同様である。
文字色と背景色の組み合わせ
必須 明度差のない文字と背景、混同しやすい色同士の文字と背景を使わない。色背景の上に色文字を重ねず、明るい背景には暗い文字、暗い背景には明るい文字を置く。〔WCAG 1.4.3、川崎市カラーUDガイドライン〕
暗い背景に文字を置くときは、赤ではなく白・黄・クリームにする。
色の選び方
- 赤は濃い赤ではなく、朱色やオレンジ寄りの赤を使う。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤や茶と並べる緑は、青みの強い緑にする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 彩度の低いパステル調の色同士を組み合わせない。彩度の高い色同士か、彩度の高い色と低い色を組み合わせる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 暖色同士・寒色同士を並べず、暖色と寒色を組み合わせる。〔伝わるデザイン〕
- 3色を使うときは、明るい色・中間の色・暗い色を1つずつ選んで明度差をつける。
- 色数を絞る。多くの色を使うと、どこが重要かが誰にも伝わらなくなる。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 赤い面を他の色と接するときは、境目に細い白線を入れる。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン〕
- 色で区別させたいものは、面積を広く、線を太くする。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- 色名で指示される可能性がある場合は、色名を併記する(例:「ピンク(A票)」)。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
色だけに頼らない
必須 色は情報を補強する手段として使う。色が見分けられない人や白黒コピーでも伝わるよう、次のいずれかを併用する。〔川崎市カラーUDガイドライン、WCAG 1.4.1〕
- 形(○△□、ピクトグラム、アイコン)
- 位置(凡例をデータの横に置く、並び順を固定する)
- 線種(実線・破線・点線)と線の太さ
- 塗りのパターン(斜線・ドット・ハッチング)
- 文字(ラベル、「必須」「エラー」などの言葉、太字、下線)
- 境界線(隣り合う面の間の線)
P型・D型ではAとB、CとDが同じ色に見える。凡例との対応も取れない。
白黒印刷でも4本を区別できる。
提出期限は 10月15日(水) です。
P型では黒文字と区別できず、強調に気づけない。
提出期限は 10月15日(水) です。
色が見えなくても太字と下線で強調が伝わる。
推奨カラーパレット
CUD推奨配色セット ver.4(カラーユニバーサルデザイン機構)は、一般色覚・P型・D型・弱視・白内障の人による評価を経て選ばれた20色である。20色のどの組み合わせでもよいわけではない。組み合わせるときは明度差をつけ、シミュレーションで確認する。
CUD推奨配色セット:アクセントカラー(サイン・グラフ・文字色向け)
CUD推奨配色セット:ベースカラー(地図・背景など広い面積向け)
CUD推奨配色セット:無彩色
印刷用のCMYK値と塗料用のマンセル値は、CUDOのガイドブックに記載されている。
Okabe–Ito パレット(国際的に使われる8色)
必須 どちらのパレットも、白背景の文字色に使うと4.5:1に届かない色が多い。文字色に使う場合は、個別にコントラスト比を確認する。〔WCAG 1.4.3〕
確認方法
- グレースケールに変換し、区別すべき要素が明度差だけで区別できるか確認する。
- 色覚シミュレーション(P型・D型)で確認する。ブラウザの開発者ツール(ChromeのRendering › Emulate vision deficiencies)、Adobe製品の校正設定(P型・D型)、スマートフォンの色覚シミュレーションアプリを使う。
動画・音声固有のルール
- 字幕の話者を色で区別する場合は、主な話者を黄、2人目を緑、3人目をシアン、それ以降の話者と複数人の同時発話を白にする。4人目にも色が必要な場合はマゼンタを使う。〔字幕付きCMハンドブック〕
話者ごとに色を固定し、初めて話すときに(話者名)を付ける。 - 話者が1人でナレーションもない場合は、白だけでよい。ナレーションは白にする。〔放送大学 字幕制作仕様書、BBC Subtitle Guidelines〕
- 話者を色だけで区別しない。初めて話すときに(話者名)を表示する。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 図解やインフォグラフィックの動画では、色の区別に加えてラベルや形を使う。表示時間が短いため、静止画より色の判別が難しい。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
1.2 コントラスト
コントラスト比はWCAGの相対輝度に基づく値で、1:1(同じ色)から21:1(白と黒)までの値をとる。Webの基準であるが、他の媒体でも判断の目安として使える。
| 対象 | 最低基準(AA) | 高い基準(AAA) |
|---|---|---|
| 通常の文字 | 4.5:1 以上 | 7:1 以上 |
| 大きな文字(18pt=24px以上、または太字14pt=約18.7px以上) | 3:1 以上 | 4.5:1 以上 |
| アイコン・入力欄の枠・グラフの線など、文字以外の意味のある要素 | 隣接色に対して 3:1 以上 | ― |
- 必須 写真やグラデーションの上に文字を置くときは、文字の背後に単色の帯や縁取りを入れ、背景の最も明るい部分でも基準を満たす。〔WCAG 1.4.3〕
- 長文の本文は、純黒(#000)より濃いグレー(#1A1A1A〜#333)、背景は純白より淡いグレーやクリームにすると、まぶしさが減る。〔伝わるデザイン〕
- コントラスト比は、WebAIM Contrast Checker、Colour Contrast Analyser(TPGi)などのツールで確認する。
動画・音声固有のルール
- 字幕の背景には、半透明の黒の帯(座布団)を敷く。〔字幕付きCMハンドブック〕
✕ 映像に直接文字を載せる 明るい背景の上では、白い字幕が読めない。誰が話しているかもわからない。
◯ 黒い帯を敷き、話者名と話者色を付ける 背景が変わっても読める。話者名と色で、誰の発言かわかる。
- 背景の映像が変化しても読めるよう、テロップには帯・縁取り・影のいずれかを付ける。
- 字幕の色は背景の映像に合わせて決める。〔PEPNet-Japan〕
1.3 文字
字幕の分量と表示時間
| 項目 | 目安 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1秒あたりの文字数 | 4文字まで | PEPNet-Japan |
| 1行の文字数 | 12〜17文字 | PEPNet-Japan |
| 1枚の字幕の表示時間 | 2秒以上(テレビCMの場合) | 民放連 字幕付きCM素材搬入暫定基準 |
| 本編の最初と最後 | 前後1秒間は字幕を表示しない(テレビCMの場合) | 民放連 字幕付きCM素材搬入暫定基準 |
- 話す速さに字幕が追いつかない場合は、意味を保って要約する。ただし、話者の口の動きが映っている発話は字幕にする。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 改行は、文字数のバランスより意味のまとまりを優先する。〔おこ助Pro〕
- 1つの文節が次の字幕にまたがる場合は、行末に「→」を付ける。〔字幕付きCMハンドブック〕
字幕の表記
| 情報 | 表記の例 | 根拠 |
|---|---|---|
| 話者 | (田中)こんにちは / >>こんにちは | 字幕付きCMハンドブック、PEPNet-Japan |
| 効果音・音の情報 | [拍手][ドアが閉まる音](飲む音) | PEPNet-Japan、字幕付きCMハンドブック |
| 音楽 | ♪ | 字幕付きCMハンドブック |
| ナレーション | <ナレーション文> | 字幕付きCMハンドブック |
| 心の声・画面外の声 | 《心の声》 | 字幕付きCMハンドブック |
| 強調したい語 | 「商品名」 | 字幕付きCMハンドブック |
- 読点は少なくし、区切りは半角スペースで示す。〔字幕付きCMハンドブック、PEPNet-Japan〕
- 難読漢字や固有名詞にはルビを付ける。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 表記のゆれを防ぐため、用字用語の基準(記者ハンドブック、NHK漢字表記辞典など)を決める。〔字幕付きCMハンドブック〕
書体
書体と組版の共通ルール
- 小さな文字や遠くから読む文字は、ゴシック体(サンセリフ体)にする。明朝体の細い横線は、視力の低い人には見えにくい。〔伝わるデザイン〕
- UDフォント(BIZ UDゴシック、BIZ UD明朝、イワタUDゴシック、モリサワUD新ゴなど)は、濁点・半濁点や似た字形が判別しやすい。BIZ UDゴシック・BIZ UD明朝は無料で使える。〔伝わるデザイン〕
- 過度な長体(縦長の変形)や極細のウェイトを使わない。細いウェイトを使う場合は、文字を大きくする。〔国交省バリアフリー整備ガイドライン、Apple HIG〕
- 欧文の全大文字・長いイタリック・装飾書体を本文に使わない。〔Microsoft〕
- 行送りは文字サイズの1.5倍以上にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 紙やスライドでは、行間を文字サイズの約0.7倍(行送り約1.7倍)にすると読みやすい。〔伝わるデザイン〕
- 左揃えを基本にする。センタリングを混在させず、揃え方を統一する。〔伝わるデザイン〕
- 両端揃えで字間が不均一になる場合は、左揃えにする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕
- 1行の長さは全角40字以内にする。〔WCAG 1.4.8(AAA)〕 1行が10字以下になると読みにくい。〔伝わるデザイン〕
- 強調は太字を使い、下線はリンクや重要箇所に限る。赤文字だけで強調しない。〔川崎市カラーUDガイドライン〕
- テロップの文字は、表示される最も小さい画面(スマートフォン)で読める大きさにする。
1.4 図・アイコン・画像
- 必須 映像だけで伝わる重要な情報(画面上の文字、図、動作)には、音声解説を付ける。〔WCAG 1.2.5(AA)〕
- 音声解説は、本編の音声の自然な間に挿入する。〔Apple HIG〕
- ナレーションで、画面に表示した文字や図の要点を読み上げる。音声解説を別に作らなくても済むことが多い。
- 画面上の文字(テロップ・スライド)は、読み終わるのに十分な時間表示する。
1.5 レイアウト
- 字幕の基本の位置は、画面下の中央にする。〔字幕付きCMハンドブック〕
- 字幕を、画面内のテロップや重要な映像と重ねない。重なる場合は位置を移す。〔PEPNet-Japan、字幕付きCMハンドブック〕
✕ テロップと字幕が重なる テロップも字幕も読めない。
◯ 字幕を画面の上に移す テロップと字幕の両方が読める。
- 手話通訳の映像は、手の動きと表情がわかる大きさで表示し、字幕と重ねない。
- SNS向けの縦型動画では、アプリのボタンやキャプション欄が重なる範囲に文字を置かない。
✕ アプリのボタンや説明欄に重なる 重要な文字が、アプリの表示に隠れる。
◯ 重ならない範囲に置く 点線の範囲に置けば、アプリの表示に隠れない。
1.6 動き・点滅
| 対象 | ルール |
|---|---|
| 赤色 | 「鮮やかな赤色」の点滅は、特に慎重に扱う。 |
| 画面の切り替え | コントラストの強い画面の反転や、輝度変化が20%を超える急な場面転換を、原則として1秒間に3回を超えて使わない。 |
| パターン模様 | 縞模様・渦巻き模様・同心円模様などの規則的なパターンが、画面の大部分を占めないようにする。 |
- 必須 1秒間に3回を超える閃光を含めない。〔WCAG 2.3.1(A)〕
- カメラのフラッシュ、雷、炎、爆発の映像は、点滅の基準を超えやすい。編集で確認する。〔民放連・NHK ガイドライン〕
- HDR映像は明るさの変化が大きくなるため、特に注意する。〔民放連・NHK ガイドライン〕
- 速いカメラの動き、激しい揺れ、急なズームを避ける。見る人が映像酔いを起こすことがある。〔Apple HIG〕
1.8 音
| 対象 | ルール | 根拠 |
|---|---|---|
| 収録済み動画 | 必須 字幕を付ける。 | WCAG 1.2.2(A) |
| ライブ配信 | 必須 リアルタイム字幕を付ける。 | WCAG 1.2.4(AA) |
| 音声だけのコンテンツ | 必須 書き起こしテキストを付ける。 | WCAG 1.2.1(A) |
| 自動再生 | 必須 3秒を超えて自動再生される音声は、停止か音量調整ができるようにする。 | WCAG 1.4.2(A) |
| 背景音 | 話し声の背景に流す音楽や効果音は、話し声より20dB以上小さくするか、消せるようにする。 | WCAG 1.4.7(AAA) |
| 音量の基準 | 番組全体の平均ラウドネスを-24 LKFS(許容範囲±1dB)にそろえる(テレビ放送の場合)。 | ARIB TR-B32 |
- 話者は聞き取りやすい速さで、はっきり話す。
- 重要な情報を効果音や音楽だけで伝えない。
- 高い周波数の音は高齢者に聞こえにくい。合図の音(報知音)は、基本周波数を2.5kHz以下にする。〔JIS S 0013〕
2. 操作
2.2 入力方法
- 必須 動画プレーヤーの再生・停止・音量・字幕の切り替えを、キーボードだけで操作できるようにする。〔WCAG 2.1.1(A)〕
- 字幕の表示・非表示、文字サイズ、背景を、視聴者が変更できるようにする。〔Apple HIG〕
- 再生速度を変更できるようにする。
2.4 時間
- 動画を自動再生しない。自動再生する場合は、停止ボタンを見つけやすい位置に置く。〔Apple HIG〕
- 重要な情報を含む画面は、一時停止して読めるようにする。
3. 理解
3.1 言葉
文の書き方
- 一文を短くし、一文に言いたいことを1つだけ入れる。〔公用文作成の考え方、やさしい日本語ガイドライン〕
- 3つ以上の情報を並べるときは、箇条書きにする。〔公用文作成の考え方、やさしい日本語ガイドライン〕
- 結論を先に示し、続けて理由や詳細を書く。〔公用文作成の考え方〕
- 「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうした」の語順で書き、主語と述語の関係がわかるようにする。〔公用文作成の考え方〕
- 回りくどい言い方や不要な繰り返しを使わない(例:「調査を実施した」→「調査した」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 二重否定を使わない(例:「在留カード以外は必要ありません」→「在留カードを持ってきてください」)。〔やさしい日本語ガイドライン、公用文作成の考え方〕
- 受身形や使役表現をできる限り使わない。行動の主体がわかりにくくなる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 係る語と受ける語、指示語と指示される語を近くに置く。〔公用文作成の考え方〕
言葉の選び方
- 難しい言葉や専門用語をできる限り使わない。使う場合は説明を添える。〔公用文作成の考え方〕
- 外来語(カタカナ語)は、ほかに適切な言葉がない場合だけ使う(例:スキーム→計画、コンセンサス→合意)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 略語を使わない(例:「健診」→「健康診断」)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「くらい」「ごろ」「なるべく」などの曖昧な表現を使わない。時間や数字は具体的に書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「結構です」のように複数の意味をもつ表現を使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「おそらく」「ようです」などの推測表現を避ける。断定できない場合は「〜かもしれません」を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 言い換えが難しい重要な言葉はそのまま使い、説明を添える(例:余震<=後から来る地震>)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 外国人向けの文書では、文末を「です」「ます」にそろえ、尊敬語・謙譲語を使わない。指示は「〜してください」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 作成後、日本語教師や対象の外国人に、わかりやすいか確認してもらう。〔やさしい日本語ガイドライン〕
動画・音声固有のルール
- ナレーションは一文を短くし、話し言葉として自然な語順にする。
- 話し言葉のやさしい日本語は、出入国在留管理庁・文化庁の「話し言葉のポイント」を参考にする。〔やさしい日本語ガイドライン〕
3.2 情報構造
- 冒頭で動画の目的と長さを示す。
- 長い動画は章(チャプター)に分け、見出しを付ける。
3.5 表記
数字
- 横書きでは算用数字を使う。〔公用文作成の考え方〕
- 大きな数は3桁ごとにコンマで区切る(例:1,254,372人)。兆・億・万の単位は漢字で書く(例:30万円)。〔公用文作成の考え方〕
- 全角・半角の使い分けを文書内で統一する。〔公用文作成の考え方〕
- 概数や「一つ」「一人」などの言葉は漢数字で書く。〔公用文作成の考え方〕
日付・時刻
- 元号だけで書かず、西暦を使う。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 年月日を「/」で区切らず、「2020年6月4日」と書く。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 時刻は午前・午後を明記する(24時間表記でもよい)。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 期間は「〇〇から△△まで」と書く。「〜」は誤解を生むため使わない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- 「年度」は具体的な日付で書き換える。使う場合は最初に説明する。〔やさしい日本語ガイドライン〕
ふりがな・漢字
- 外国人や子どもが読む文書では、漢字の量を抑え、すべての漢字にふりがなをつける。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなは漢字の上か、漢字の後ろの括弧に入れる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ふりがなを入れた文書とは別に、ふりがなのない版も用意する。ふりがなは機械翻訳を妨げる。〔やさしい日本語ガイドライン〕
- ローマ字で日本語を書かない。外国人がローマ字を日本語の発音どおりに読めるとは限らない。〔やさしい日本語ガイドライン〕
記号
- 括弧は( )と「 」を基本にし、他の括弧は用法を統一して使う。〔公用文作成の考え方〕
3.6 多言語
- 外国語の字幕(翻訳字幕)と、同じ言語のキャプションを区別して提供する。〔Apple HIG〕
- 字幕ファイル(WebVTTなど)を別に用意し、言語を選べるようにする。
5. 支援技術・代替形式
| 形式 | 内容 | 対象者 |
|---|---|---|
| キャプション | 話し声・話者・効果音を文字にして、映像と同期して表示する。 | 聞こえない人・聞こえにくい人 |
| 翻訳字幕 | 話し声を別の言語に翻訳して表示する。 | その言語の話者 |
| 音声解説 | 映像だけで伝わる情報を、本編の音声の間に音声で説明する。 | 見えない人・見えにくい人 |
| 書き起こし | 音声と映像の情報をすべてテキストにまとめる。 | 見えない人・聞こえない人・内容を読み返したい人 |
| 手話 | 手話通訳の映像を表示する。 | 手話を第一言語とする人 |
6. 法規・規格
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| WCAG 2.2 1.2(時間依存メディア) | 字幕・音声解説・書き起こしの要件を定める。 |
| 民放連・NHK「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」 | 光の点滅や画面の切り替えの基準を定める。1998年に制定され、2006年と2020年(HDR映像への対応)に改訂された。 |
| 総務省「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」 | 字幕放送・解説放送・手話放送の2018〜2027年度の普及目標を定める。 |
| ARIB TR-B32 | テレビ放送番組のラウドネス(音量)の運用規定である。 |
| 障害者差別解消法 | 2024年4月1日から、事業者による合理的配慮の提供が法的義務になった。 |
7. チェックリスト
- 字幕が付いていて、話者と効果音も示しているか。
- 字幕は1秒4文字程度、1行12〜17文字程度に収まり、2秒以上表示されているか。
- 字幕がテロップや重要な映像と重なっていないか。
- 映像だけで伝わる情報を、ナレーションか音声解説で説明しているか。
- 点滅が1秒3回以下で、鮮やかな赤の点滅や全画面の縞模様がないか。
- 背景音が話し声を妨げていないか。
- スマートフォンの画面で、字幕とテロップが読めるか。
- 音声だけのコンテンツに書き起こしがあるか。
8. 出典
- 民放連「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」(新しいタブで開く)
- PEPNet-Japan「動画への字幕挿入の前に」(新しいタブで開く)
- おこ助Pro「バリアフリー字幕制作のガイドライン」(新しいタブで開く)
- 放送大学学園「字幕制作仕様書」令和4年度(新しいタブで開く)
- BBC, Subtitle Guidelines(新しいタブで開く)
- 電波産業会「ARIB TR-B32 デジタルテレビ放送番組におけるラウドネス運用規定」(新しいタブで開く)
- 総務省「視聴覚障害者等向け放送の普及促進」(新しいタブで開く)
- W3C, WCAG 2.2(新しいタブで開く)
- Apple, Human Interface Guidelines: Accessibility(新しいタブで開く)
- 川崎市総務局「公文書作成におけるカラーUDガイドライン」(新しいタブで開く)
- カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット」(新しいタブで開く)
- 高橋佑磨・片山なつ「伝わるデザイン|研究発表のユニバーサルデザイン」(新しいタブで開く)
- 国土交通省「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン(旅客施設編)」令和7年9月(新しいタブで開く)
- 出入国在留管理庁・文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(新しいタブで開く)
- 文化審議会「公用文作成の考え方(建議)」2022年(新しいタブで開く)
- 字幕付きCM普及推進協議会「字幕付きCMハンドブック」2019年(新しいタブで開く)
- JIS S 0013:2022 アクセシブルデザイン-消費生活用製品の報知音(新しいタブで開く)
- 岡部正隆・伊藤啓「Color Universal Design」(Okabe–Itoパレット)(新しいタブで開く)
- NC State University, The Center for Universal Design(7原則)(新しいタブで開く)
- Machado, G. M., Oliveira, M. M., & Fernandes, L. A. F. (2009). A Physiologically-based Model for Simulation of Color Vision Deficiency. IEEE TVCG, 15(6).(色覚シミュレーションの計算方法)